翻刻
よきことなれば此(こゝ)に略(りやく)す只(たゞ)このゆへに腹中(ふくちう)の掃除(そうじ)を専一(せんいち)とすべし
さればとて漫(みだ)りに下(くだ)すは胃腸(いちやう)に損害(そんがい)あれば一月(いつげつ)のうちに一二度(いちにど)も
下(くだ)してのち左の煎薬(せんやく)を二三/服(ぶく)も用ひて胃腸を調(とゝの)ふべし其方
藿香(くわくこう)《割書:大々》木香(もくかう)《割書:小》益智(やくち)《割書:小》芍薬(しやくやく)《割書:大》右(みぎ)水(みづ)にて煎(せん)じ用ゆるなり又疫
熱は氣の鬱(うつ)する處よりも起(をこ)るを以(もつ)てなるたけは家の内を掃除(そうじ)し
/塵埃(じんあい)【「チリアクタ」左ルビ】不浄(ふじやう)のものなきよふにいたすべし田舎(でんしや)にて疫熱/多(おほ)きわけ
は家の内庭(うちには)の面(をも)て等(とう)の掃除(そうじ)あしくして室内(しつない)に氣の鬱(うつ)する
によりて元(もと)より疫毒(ゑきどく)もあらぬに自然(しぜん)と疫熱を生(しやう)すればなり江都(えど)
にても中間部屋(ちうげんべや)御救小屋(おすくいごや)牢内(ろうない)等(とう)にては世上(せじやう)に疫熱なきときにも
常に此/病(やまい)あるは氣の鬱するによるなり又/大商戸(だいしようこ)【「オゝダナ」左ルビ】等の如き狭(せま)き
處に数(す)人/鱗次(りんじ)【「ゴタ〳〵」左ルビ】して寝食(しんしよく)【「クラス」左ルビ】する家又は裏店(うらだな)の如(ごと)き一方口(いつほうぐち)の處には
疫熱多くして高門(こうもん)【「ウエズガタ」左ルビ】大廈(たいか)【「ヤシキガタ」左ルビ】等の廣濶(かうかつ)【「テビロ」左ルビ】なる住居(じうきよ)【「スマイ」左ルビ】に疫熱少なきは氣
の鬱すると鬱せぎるの二つに因(よ)るなりこのゆへに寝室(しんしつ)【「ネマ」左ルビ】居間(いま)等
にはとりわけ窓(まと)をつけ氣(き)の通(つう)するふふになすべし 本邦(ほんほう)【「ニツポン」左ルビ】の