翻刻
りいその春風いと身にしみ給ふらん
かゝる所にをはしたるよと見るに
なみたもとゝまらすたかひにやせく
ろみたる恋のすかたにてとかくの
こと葉も出すやゝありて御物かたり
有わかれしよりいままての事とも
かたり給ひけれはよそのたもと
もしほりけりさるにても都には
何事か候ひつるととひ給へはなひし
申給ふ三条のひめきみこそうせさせ
給ひて候へみやはたゝ一すしの御物
おもひにてくこ【供御】も聞しめさすとかた
り給へは兵衛の介殿なひしにあわせ
給ひ此ほとの事ともすこしはるゝ
心ちしたまふにいもうとの姫君うせ
たまふときゝ給ひて又かきくらす心ち
してあはれさたとへんかたもなし思ひ
つる物を命をやうしなひつらん又いかなる
物にもとらせてやあるらん今は此世に
あらしされは今一とあふ事もかたかる