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コレクション: 愛知県豊橋市関連資料

東三河道中記 : 豊橋市及其附近案内 - 翻刻

東三河道中記 : 豊橋市及其附近案内 - ページ 85

ページ: 85

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巨萬の財をかけて造り上げたもので、丁度明治から大正、昭和の三 代に亘り、其材料など隨分遠方から運んでゐます。とに角現代とし ては代表建築で、これ程の木造建築は今後或は出來ないのかも知れ ません、【ママ・「。」の誤植か】古建築を見た目には樣式や手法に物足りない点がないでも ありませんが、それは時勢で仕方がありますまい、【ママ・「。」の誤植か】そこへ行くと今 奥院となつてゐる元の堂が遙かによい出來で、外に附屬の建物も澤 山ありますが、とりわけて云ふ程のものもありません。  庭園も甚だ立派なものです。此裏手少し距れた處に櫻の馬塲とい つて周圍へ櫻を植ゑた馬塲があり、花時には大層賑かで、それに並 んで豊川鐵道の經營するグラウンドがあります。 三明寺【ゴチック見出し】はこれより東で台地を降りた處にあります。こヽの辨 天堂は古い建物の上へ更に建てヽありまして、今厨子になつてゐる のがもとの建物です。時代は分りませんが天文廿三年の棟札があり ますから或は其頃のものかと思ひます。この堂にある辨天像は、三 河の國司であつた大江定基が力壽の死を悲しみその面貌に似せて作 つたものといはれ、先年鎌倉で發見された裸辨天と同形で廿年目每 に更衣があります。抱いてゐる琵琶は定基の愛玩品だつたといひま す。  此辨天さまは馬方辨天とも云はれますが、それは其前の道をよい 聲で唄ひながら通る馬方の其聲が辨天さんの胸に響いて或夜通りが かりの馬方をそつと呼びとめ、唄をうたはせ、そのお禮にお金の少 し入つてゐる財布を與へ、この財布は使つただけづつ湧く財布です がこれをお前にやる程に、私から貰つたと決していふてはなりませ ぬぞと堅く口止めされました。馬方は決して口外しなかつたのです