翻刻
八 夜(や)ごろよし
○信州(しんしう)より北国(ほつこく)辺(へん)出羽(では)奥州(おうしう)山陰道(さんいんどう)辺(へん)は立春(りつしゆん)よ
り九十九夜ごろ虫(むし)生(しやう)じてよし又(また)此(この)国々(くに〴〵)にては
種(たね)を外(ほか)に置(をき)てよし
右(みぎ)の心得(こゝろえ)にて種(たね)貯置(たくはへをく)べし心がけ肝要(かんよう)なり
○雪雨(ゆきあめ)に宜敷(よろしき)ほど当(あた)るがよしあまり多(おほ)く
あたるは悪(あし)し
糸繭(いとまゆ)むしやうの伝(でん)
○まゆむし糸に引(ひく)にはせいろうに入(いれ)て上(うへ)に
虫(むし)の餌葉(ゑば)に用(もちゆ)る青葉(あほば)をきざみまゆとま
ぜ合(あは)せ《振り仮名:せいろふ|蒸籠》に入 赤飯(せきはん)のむしもの同様(どうやう)に
むすなり湯《振り仮名:にえ立|熟たち》し時(とき)にせいろふをのせ凡(およそ)せん香(かう)半分
位(くらゐ)たつ内むし取出し平篭(ひらかご)に入(いれ)日(ひ)かげ風当(かぜあた)りよき
所(ところ)に置(をく)なり即時(そくじ)にかはきがら〳〵になるなり是(これ)を
又(また)二日も過(すぐ)る節(せつ)上(うへ)に紙(かみ)又(また)は布(ぬの)をかけて日(ひ)に干(ほす)なり
むしやうほしやう悪敷(あしき)時(とき)は糸色(いといろ)悪(あし)く直段(ねだん)
やすし
薬種(やくしゆ)に用(もちゆ)る事
○まゆかけ十五日 程(ほど)過(すぎ)て糸(いと)にさしかげぼしにする
なりむし候後其 薬気(やくき)うすし
○岩崎常政(いはさきつねまさ)云(いふ)張氏医通纂要(てうしいつうさんよう)小児門(しやうにもん)の中(うち)癖(へき)
疾(しつ)また胎毒(たいどく)によりて発(はつ)するを治(じ)する薬(くすり)に山繭《割書:やま|まゆ》