翻刻
いふは生(なま)にてたきそばがらのはいと等分(とうぶん)に入(いれ)にえ湯(ゆ)
をかけたらすなりさらしといふは上(うへ)のすみたる
水(みず)也(なり)是(これ)にてよく《振り仮名:に水|煮みづ》をかへ引(ひき)やう右(みぎ)に同(おな)じ
○上糸(ぜういと)中糸(ちういと)下糸(げいと)ともににる時は中(なか)の虫(むし)のあく出(いで)て
水(みづ)茶色(ちやいろ)になる也 仍(より)ていくたびも水(みづ)を変(かへ)虫のあく
水(すい)をさり清水(せいすい)にて引(ひく)べし但(たゞし)口糸(くちいと)の内(うち)は始(はじめ)の
水(みづ)にて引べし尤(もつとも)手前(てまへ)づかひの糸(いと)にはくるし
からず糸色(いといろ)悪(あし)くとも煉時(ねるとき)は黄色(きいろ)になるなり
○古繭(ふるまゆ)新(しん)まゆのにかげん心(こゝろ)がけ肝要(かんよう)也(なり)
○右之(みぎの)外(ほか)祢笹(ねざゝ)のあく青(あを)わらのあく色々(いろ〳〵)あると
いへども大概(たいがい)右(みぎ)のあくよし
糸染(いとそめ)煉(ねり)あくの事
○青(あを)わらあくといふは《割書:八月ひがん前(まへ)に苅(かり)とり|たるわらのはいなり》にえ湯(ゆ)にて
よくたらしよくさらしせん香(かう)一 本(ほん)程(ほど)たつ内(うち)煉(ねる)
べし但(たゞし)わらのあくにても染色(そめいろ)によりてよし
○そばわらのあくをつよくしてねる説きは糸(いと)白(しろ)し
青色(あをいろ)ぬけるゆへに糸(いと)よはし青色(あをいろ)ぬけぬやうに
煉(ねれ)ば糸(いと)つよし仍(より)て紫(むらさき)とび色(いろ)類(るい)に染(そむ)る時(とき)はそばあ
くよし外色(ほかいろ)には悪(あし)し尤(もつとも)青色(あをいろ)ぬける程(ほど)ねる
時(とき)は染色(そめいろ)よし
織(おり)やうの大概(たいがい)
唐繭紬(とうけんちう)の織(おり)やう