翻刻
きぬ〳〵の噂(うわさ)をなかす
宮戸(みやと)川に
歓喜(くわんき)の御社(おんやしろ)森〻(しん〳〵)として
貴賤(きせん)此処の杜(もり)を 見ても
心をうこかすも
ひとへに
此神を恋(こひ)の
媒(なかたち)とや
いわん
清風(せいふう)起橋辺(きやうへんにおこり)
名月(めいけつ)入楼船(ろうせんにいる)と
納涼(すゝみ)は
三国一ともいふへし
避暑(あつさしのぐ)涼舟(りうせん)に
妓女(きじよ)の三絃(さみせん)は
雲舞(かるわざ)の太皷(たいこ)にまがへ
諸講師(しよこうし)の戦談(こうしやく)にも
皷角(ときのこへ)かとあやしまる
三伏(さんふく)の暑(しよ)きに
あわ雪の〳〵聲(こへ)に
聞なれぬ鄙人(いなかもの)のきもを
つふすもおかし