翻刻
【右丁】
天門冬(てんもんとう)《割書:生》 よく蒸(む)し皮(かは)をさり心(しん)をぬきさる也よく蒸(む)さり
たるときは皮(かは)よくむけるものなりさてよく蒸(む)さりたるを竪(たつ)
にわりて中の心(しん)をぬきさり是を再(ふたゝ)びよく湯煮(ゆに)してさて
早稲藁(わせわら)の灰汁(あく)一升の中へ枯礬細末(こはんさいまつ)壱両入れよく
かきまぜ此 水(みづ)に三日ひたし取(とり)あげ清水にてあらひ流(なが)し
にして其上 前法(せんはふ)のごとく砂糖(さとう)にて煮(に)つめるなり
凡 苦味(にがみ)のあるものゝ煮法(にやう)みなかくのことし
右 枯礬(こはん)のかはりに畢撥(ひはつ)にてもよしとする也
松(まつ)のみどり 《割書:但し》春の末(すゑ)松のしんに立(たち)たる物をとり用ゆべし
【左丁】
よく湯煮(ゆに)して清水(みつ)一升の中へ石決明細末(あわびのさいまつ)拾匁
石灰(いしはい)弐合かきまぜ此水に二昼二夜(ふつかふたよ)ひたしおきとり
出して清水(みつ)にて流(なか)しあらひにして其うへ前法(せんはふ)のごとく
砂糖(さとう)にて煮(に)つめるなり
凡しぶみあるもの煮法(にやう)みなかくの如(ごと)くすべし
仏手柑(ぶしゆかん) 《割書:だい〳〵の若(わか)きものを輪切(わぎり)にして|是を仏手柑と号(こう)して漬るなり》これをうすく
輪(わ)ぎりにしてよく〳〵湯煮(ゆに)し煮法(にやう)松のみどりの如くすべし
金柑(きんかん) 小刀(こかたな)にて所々(ところ〴〵)へ少しつゝ切目(きりめ)を入れよく〳〵
湯煮(ゆに)して其上 前法(ぜんはふ)の如く砂糖(さとう)にて煮(に)つめるなり