翻刻
【右丁】
大抵(たいてい)長日(ながきひ)なれば一時半/短日(たんじつ)なれば二時半ばかり煮(にる)也
鍋(なへ)の内(うち)にて竹(たけ)の箸(はし)にて文字(もんじ)を書(か)き試(こゝろみ)るに其文字きへ
ざるやうになりたるときを度(と)として火を徹(てつ)【撤】しうるし
塗(ぬり)の箱(はこ)にながし込(こむ)なり其まゝ冷(ひや)し置き一夜(いちや)を経(へ)
て十分にしまる也是を極上々(こくしやう〳〵)の煉羊羹(ねりようかん)と称する也
又/下品(けひん)の羊羹は氷(こほり)砂糖を用ひず又さとうをも減(へらす)へし
○朧羊羹(おほろようかん)の方
白大角豆(しろさゝけ)をよく煮て味噌(みそ)こしを水につけ角豆(さゝげ)をすれば
肉(にく)は下へ落(を)ち皮(かは)は上にとまるなり右の肉をいさせその上
【左丁】
澄(すみ)をさり布袋(ぬのふくろ)に入れ水気を絞(しほ)りさりほろ〳〵となる
《割書:是をこし粉といふさとうを|くはへてあんといふ》此上へ引飯(ひきいひ)を三分ばかり交(ま)せ合せ
砂糖多くくはへとろりとまぜて蒸籠(せいろう)に布(ぬの)をしきよく
蒸(む)し冷(ひや)しいかやうにも切り用ゆるなり
○餡(あん)の方
赤小豆(あづき) 一合《割書:こしあんにして置》
白砂糖(しろさとう) 八拾匁
水 一合
金糸飴(きんしあめ) 少《割書:是は幾日(いつか)へてもあんのかはりざる為也|此仕やう奥(おく)にあり》