翻刻
【右丁】
入れ蓋(ふた)を能(よく)し三時ぼと【ママ】ねさせおくなり但(たゞし)加減(かげん)は手にて
にぎりしぼり試(こゝろみ)るに水ぬけて跡(あと)の餅米(もちごめ)のからはら〳〵と乾(かは)
くを度(ど)とさだめ其まゝ布(ぬの)の袋(ふくろ)に入しぼり暫(しばら)く又休せ置也
此とき枯礬(こはん)弐匁入るなり右/粕(かす)をさりし水を砂(すな)こしにする也
其/漉(こ)したる水を釜(かま)に入て煮(に)つめるなり但/煮加減(にかげん)は貝(かい)
杓子(しやくし)にて汲(くみ)て薄紙(うすがみ)のごとくになりて残(のこ)る位(くらゐ)を煮(に)かけんと
定(さだ)むる也其時/急(きう)に火を徹(てつ)【撤】し別器(へつき)に移(うつ)し入/冷(ひや)し貯(たくはへ)
置(おく)なり
○同二番
【左丁】
一番の粕(かす)に水(みづ)をひた〳〵に入半ときばかりねさし袋(ふくろ)に入れ
再(ふたゝ)ひ絞(しぼ)り煮(に)つめるなり夏(なつ)は水/冬(ふゆ)は人はだの湯なり
○水菓子花餅(みつくはしはなもち)
葛(くず)の粉(こ) 壱升
温飩(うどん)の粉(こ) 三合
右弐品よく交(ま)せ合し紅色(へにいろ)には紅(へに)を入れ青色(あをいろ)にはひき
茶(ちゃ)を入れ黄色(きひろ)には山梔子(くちなし)の汁(しる)を入れかたくこね花形(はながた)
色々に作(つく)りよく〳〵蒸(むら)し冷(ひや)し物(もの)の鉢(はち)に水を入つけて出す《割書:但|》小皿(こさら)
何にても極上(こくじやう)の白砂糖を入/其上(そのうへ)へ細杓子(あみしやくし)にてすくひ盛(もる)るべし