翻刻
【右丁】
○炒米(いりごめ)の製法(せいはふ)
上々白米 新米(しんまい)なれば一日一夜(いちにちいちや)水に浸(ひた)し置(おき)取上いかきへ
入/水気(すいき)をよくたらし文武火(すみび)にて炒(いる)なり右/炒(い)りたりたるをその
まゝ熱(あつ)きうちに黒砂糖(くろさとう)醤油(しやうゆ)すこし入/撹(かきま)ぜよく〳〵
まぶし蓋(ふた)をして少しも気(き)のぬけざるやうに覆(おほ)ひ置(おけ)は暫(ざん)
時(じ)の間(ま)にはら〳〵と乾(かは)き上りて誠(まこと)に絶妙(せつめう)の好味(こうみ)となる也
尤(もつとも)黒豆は別段(へつたん)に炒(い)り置て一所(いつしよ)に撹(かきま)ぜ入れるなりこれも
あつき内(うち)に一所に入るべきなり
○蓮玉子(はすたまご)の法
【左丁】
竹の箸(はし)の先(さき)を尖(とが)らして蓮(はす)の巣(す)の中(なか)の糸(いと)をよくとり
鶏卵(たまご)にうどんの粉(こ)に醤油(せうゆ)すこし和(くは)しよく〳〵交(ま)せ合(あは)し右の
蓮(はす)の巣(す)の中へながし込(こむ)なりさて鍋(なべ)に湯(ゆ)をたぎらしこれを
湯煮(ゆに)し煮(に)へかたまりたる時/輪(わ)ぎり又ははすかひに切(き)り用ゆる也
○鮒淀川煮(ふなよどがはに)の法
鮒(ふな)弐三寸より五六寸/位(くらゐ)まての魚を凡(およそ)長日なれば二/時(とき)斗
短日ならば三時ばかり酒(さけ)に浸(ひた)し置なり尤/鱗(うろこ)はその□□【まゝヵ】
腸(はらわた)は泥砂(どろすな)をよく去(さ)るべし右のごとく酒にひたしたるものを酒水
おの〳〵等分(とうぶん)にして文武火(すみひ)にて半日(はんにち)ばかり煮て其上/醤油(せうゆ)を