翻刻
【右丁】
栄螺(さゞゐ)生(なま)にては中々(なか〳〵)身(み)のぬけざるもの也/是(これ)をぬくには先(まつ)鉢皿(はちさら)にて
も水(みづ)を入/其上(そのうへ)へ竹(たけ)にても木(き)にても細(ほそ)きものを弐本/渡(わた)しこれに
栄螺のふたの方(かた)を下(した)へなして水(みづ)かゞみを見すれは其/殻(から)おのれと
出(いづ)るもの也其とき急(きう)に抜出(ぬきいた)すべし
○栄螺(さゞゐ)の壺(つほ)やき心得(こゝろう)べき術
海浜(かいひん)にて栄螺を島(しま)やきとて焼(やく)なり其とき其/実(み)貝(かい)をは
なれ飛(と)ぶて五六/間(けん)にも及ひもし人にあたる時に甲(かう)にて傷付(きずつく)ること
石弓(いしゆみ)のごとし恐(おそ)るべし先(まつ)さゝゐを焼んとおもふとき塩(しほ)にても醤油(せうゆ)
にても殻(から)の中へ入れ小(ちい)さき火を甲の上に置てのち焼べし取
【左丁】
たての生(なま)のさゞゐにても飛出(とひいつ)ることなしこれさゝゐを焼(やく)秘法也
○長命酒(ちやうめいしゆ)の方
生(き) 酒(ざけ) 壱升
氷(こほり)砂糖 百目
梅(うめ) 干(ほし) 三十 よくあらひ塩を出し置也
右三味/一所(いつしよ)に壺(つほ)に入口をよく封(ふう)し土中に埋(うづ)めおく事
五十日にして取出し用ゆるなり梅(うめ)の香(か)を発し風味/格(かく)
別(べつ)によろしく痰(たん)を治(ぢ)し気血(きけつ)をめぐらし腎水(しんすい)をまし疝気(せんき)
を治する効能(こうのう)あり