翻刻
よりて治を誤り貴人の病は鄭重(ていちやう)に過るに
失す此三つの家々常にこれを弁(わきま)へ此心を斟酌(しんしやく)
しなば必す夭横(やうわう)の死(し)は免(まぬか)るべし凡病家は素(しろ)
人(うと)ゆえ病の筋を知らざるはもとよりなり然れ共
受得し病の浅きと深きは自らしらるへし又
衣服(いふく)居所の手当も分限相応に寒温 宜(よろしき)に適(かな)ふ
やうにすへし食物は淡(あは)くして軽(かろ)き物はよろしく
甘美(うまく)して重きものは害ありてあしゝといふは
これ又勿論の事なりされど淡きものにも毒(どく)
あり重き物にも害なき物もあり万の事すべ
て皆其 任(まか)する医に叮嚀(ていねい)に問尋ねその指揮(さしつ)
する所を守り私を加(く)へざるを専らとすべし
これ医を知らざる病家の一大要法なり