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其年の四月に始て賀茂紫野の野宮にうつり
入せ給ふ也其儀先吉日をえらひ又河原の御禊あり初
斎の御禊のことし但此度は御輿にめさる御輿
のおさ十人輿丁四十人駕女十六人是は御めのと二人
女蔵人六人女嬬四人小女四人乗なり女別当以下車に
のる勅使大納言一人中納言一人参議二人四位五位四人
内侍一人弁外記史太政官の史生弁官の史生官
掌此外神祇内蔵縫殿陰陽大蔵宮内大膳木工
大炊主殿掃部造酒主水左右の馬等の官省寮
のつかさとも供奉しつらなる御祓ありて後饌禄な ̄ンと
たび事おはりぬれは御輿をめくらして紫野に入せ給ふ宮に
とゝまりて更に禄をたひけるかくて毎年四月中酉日に
賀茂両社の祭にまいらせ給ふと《割書:云| 々》斎院につきたる
官を長官次官判官とてこの院に事を承はり給ふる
にさし定置るゝ也斎院の御代々哥読給はぬはなしとそ
但有(〽[朱] )智内親王は御ざへすくれ給ふて大和もろこしの
文の道にも通し給へりし◦(か)は嵯峨天皇賀茂斎院に
行啓【注】なりし時斎院の作り給ふ其詩云 寂々(〃 )《割書:タル》幽荘迷_二樹裏 ̄ニ_一、
仙-輿一 ̄タヒ-降 ̄ル一-池-塘、棲_レ林孤鳥識_二春澤_一、隠_レ澗寒花見_二日光_一、
泉-声近 ̄ク報新雷 ̄ノ響、山色高-晴 ̄テ陰雨行 ̄ク、従_レ此更 ̄ニ知
【裏、塘、澤、光、音、行、の「、」は朱書】
【「行啓」は「行幸」の誤】