翻刻
【右丁】
席にふすべからず只 起(お)きて守り居る事よし必一 室(しつ)にて
寝る事よろしからず寝(いね)んとするときは別室(へつしつ)に臥(ふ)すべし
故に人は其気を正しうする事養生の先務なりされは神
仏をまつるも初め先香を炷(たき)しかうして後に拝(はい)をなす是気
をあらたむる故なり扨又 土地(とち)により人の風俗かはり処(ところ)により
て人気の違ふも気の変る故人物 違(ちが)ふものかされば此気を正
しうし心を丹田(たんでん)におさむるときは自 無病(むびよふ)長寿(てうじゆ)なるべし
此書は陰陽の大筋(おゝすじ)を書(かき)記す已(のみ)にして其 変(へん)にはいまだ
いたらずされども此書(このしよ)を数篇 熟読(じゆくとく)するときは人身の理(り)を
【左丁】
知る故に不養生なる事は自 悪敷(あしく)おもひ養生にかなふ
事は心によろしくおもふ故に終に養生の理にかなふべし
此外食事を以て病を治(じ)し又人により食して宜敷物
又よろしからざるもの抔を委敷記し又何病は何により
ておこり何によりて治するといふ事抔又 温泉(とふじ)【左に振り仮名】の理又
人により温泉(とふじ)【左に振り仮名】のあふとあはざるの説なと当時湿毒 多(おゝ)
きにより甚 有益(ゆふゑき)の事とも数条(すでう)ありといへども余り事
しげきにより後編(かうへん)に譲りて爰(こゝ)に記さず
こけぬつえ下終