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コレクション: 養蚕の書

蠶種説 - 翻刻

蠶種説 - ページ 61

ページ: 61

翻刻

少と価の高下に準するを以て彼此自ら見込の 異同を生し景気の平均を得さる者と見ゆ 近年日本蚕卵の頻に利益あることを西洋人見聞 せし故昨年未熟の洋啇先を競ふて渡来し善悪 の鋻#1定拙く沢山買込み持帰り彼国に於て捌方 宜#2布からさりし由なり是に因て今年は其景気 につれ買出しに渡来する洋啇も自然少く彼地 の相場も必らす高値にして我国より渡航輸出 せは最好機会なるへし併し一両年来外国の事 情も通し先年の如く無着なること漸々止みしと 雖も尚又下等の品を自然多く製出さは恐くは 一般に蚕種の品位を下す弊害を醸成するに至 らんか最も怕る可き事なり外国に輸出するに は必す第一等の品を択ぶへし我国にては上品 下品の差纔に二分か三分のことなれとも彼地に ては三四弗乃至一倍の相違有る故能く之を熟

現代語訳

少ないことと価格の高下に準ずることを以て、彼此自ら見込みの異同を生じ、景気の平均を得ざる者と見える。 近年、日本蚕卵の頻りに利益あることを西洋人が見聞せし故、昨年未熟の洋商が先を競って渡来し、善悪の鑑定が拙く、沢山買い込み持ち帰り、彼国において捌き方が宜しからざりし由なり。これに因って今年はその景気につれ、買い出しに渡来する洋商も自然少なく、彼地の相場も必らず高値にして、我が国より渡航輸出せば最好の機会なるべし。 併し一両年来、外国の事情も通じ、先年の如く無着なることが漸々止みしと雖も、尚また下等の品を自然多く製出せば、恐らくは一般に蚕種の品位を下す弊害を醸成するに至らんか。最も怖るべき事なり。 外国に輸出するには必ず第一等の品を択ぶべし。我が国にては上品下品の差僅かに二分か三分のことなれども、彼地にては三四ドル乃至一倍の相違有る故、能くこれを熟...(続く)