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【右丁】
一/痘後(ほうさうのゝち)一番湯(いちはんゆ)まては房内(ねや)又(また)は病床(ねや)の前(まへ)なる庭(には)なと掃除(そうじ)するこ
となかれ
一/僧(しゆつけ)尼(あま)比丘(ひく)称宜(ねき)【称は祢の誤記ヵ】山伏(やまふし)巫女(みこ)など房内(ねや)にいる事なかれ
一痘者のかたはらにてさわかしき物云(ものいひ)又(また)は大音(おほこゑ)にてわらふ事なかれ
一/酒宴(さかもり)舞謡(まひうた)ふこと必すきんずへし
凡(およそ)これらの禁忌(いみこと)を謹(つゝ)しみ護(まも)らされは順(じゆん)なるものも逆(ぎやく)に変(へん)し
危(あや)ふきにいたり又(また)能(よく)守(まも)るときは逆(ぎやく)なるものも幸(さいはい)に生(せい)を得(え)て険(けん)な
るものは順(じゆん)に転(てん)すへし尤(もつとも)気血(きけつ)壮実(さかん)なる痘者は物事(ものこと)にまけあや
かる事はすくなけれと気血(きけつ)虚弱(よはき)痘症(ほうさう)は物事にまけ易(やす)しこのゆゑに
父母(おや〳〵)傍人(そはひと)よく〳〵こゝろをつけて禁忌(いみこと)調護(かひほう)飲食(のみくひ)禁好(よしあし)を第一(だいいち)
【左丁】
とすへし飲食のよしあしは末(すゑ)の巻(まき)にしるす
四時房内の差別
一/貴賤(たつときいやしき)貧福の程(ほと)々に従(したか)ひ痘者(ほうさうにん)介抱(かいほう)房内(ねや)の差別(しやへつ)あれと唯(たゝ)こゝに
しるせし処(ところ)によりて其(その)程(ほと)相応(さうおふ)になすへし
一痘はその始(はしめ)先(まつ)熱(ねつ)ありて已(すて)に痘といふ事(こと)明(あき)らかならは春夏秋(しゆんかしう)
冬(とう)ともに東南(ひかしみなみ)にむかひ西北(にしきた)を後(うしろ)にする坐舗(さしき)を見立(みたて)尤(もつとも)四季(しき)の寒(さむき)
暑(あつき)によりて坐敷(さしき)の差別(しやべつ)あるへきなり其(その)よろしき処(ところ)の坐舗を掃(そう)
除(し)して雨戸(あまと)障子(しやうし)襖(ふすま)なとたてきりて乳香(にうかう)を焚(たき)其(その)座中(さちう)の湿気(しつき)不
浄(しやう)をさけてのうへ衣桁屏風(いかうひようふ)に紅色(へにいろ)なる衣服(きもの)をかけまた荊芥(けいかい)茵蔯(いんちん)
を薫(ふすべ)て其(その)香(にほひ)の坐中/隅(すみ)々まて行届(ゆきとゝく)をよしとすこれ皆(みな)穢気(けかれ)を避(さくる)