東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 10

ページ: 10

翻刻

【見開き二頁を八コマの図と説明文により女中一生記とする】 【右頁欄外余白に題の一部】 女(じよ)中(ちう) 【右頁上段 題 右から読む】 聟(むこ)入(いり) 【むこ入儀式の図】 むこ入は。祝言よりさきに 日がらを定めまいるなり むこ《割書:并》むこのおや仲人(なかふと) つれ立行むこの親なき は親ぶんの人同道して 行也。さかづき座つき《割書:二》出 むすめの親よりはじめ 聟(むこ)にさしむこより 一門中不残さかづきす るさかづきしうと《割書:二》納り ざうに出るすいものいで 其後ぬりさかづきにて 三こんまはりをさまる 【右頁下段 題 右から読む】 嫁(よめ)入(いり) よめいりして親の家出 跡(あと)にて門火を焚き死(し)人の やうに二たびかへらぬをしう 義とするまことにむすめ 人と成おやの手をはなれ 行よりしては我父母事 を思ひかへむこのおやたちへ よくつかへ今迄の我おや のごとくしんじつに孝(かう)を つくしよくつかへへし。則 我おやへつかへるにをなし よめいりの夜行時二たび 此 家(いへ)へかへらぬと思ひ【日】定行べし 【右頁上段 題 右から読む】 祝(しう)言(げん)之(の)盃(さかづき) むこの家へ行と待上郎 手引して座えつき。さん ぼう出しうとしうとめ むこむかふ座にならびゐて よめよりさかづきはじめ。むこ にさすいつにても三こんづゝ うけてのむなり。一 門(もん)ぢう みな〳〵さかづきする むこはさかづきすむと立 べし。よめは物かずいはぬ がよしさかづきすみ色(いろ) なをし有。りやうりも成 程(ほど)しづかにくふべし 【右頁下段 題 右から読む】 新(にゐ)枕(まくら) しう義 食(くい)事万しまひ ねやに入《割書:ル》時は仲人むこ よめばかりにて。しうと より持せ行【持たせ行く】。さげ重(じう)ひら き仲人あいさつにてむこへ さけをすゝむる。此時はむこより のみよめへさす。むこもうち くつろぎ盃(さかづき)して。仲人よき 程にあいさつして次(つぎ)へたつ。 よめあいさつ。何か物かず 多(おゝ)くいふ事あしく。とかく 心はおちつきゐて成程うい 〳〵しきていこそよけれ 【左頁欄外に全体の題「右頁からの続き」右から読む】 一生(しやう)記(き) 【左頁上段 題 右から読む】 平(へい)産(さん)之(の)躰(てい) くはいにんに定りし時身持 大事也 目(め)にあしき事を見ず みゝにあしき事をきかず あしきあぢはひの物 食(しよく)せず 物ことはらたてず。しづかに くらすべし。心よき事にうつし よくつゝしむ時は。生(むま)るゝ子 おとなしく一 生(しやう)のとくなり 又髙き所の物 手(て)をのばし 取べからず。をもきものもつべ からずあたり月に灸すべ からず立(たち)ゐしげきはあしし 臥(ふす)ときは足(あし)をかゝめて臥べし 【左頁下段 題 右から読む】 産(さん)後(ご)養(やう)性(しやう) さんごには風にあたらぬやう すべし。又あせかく事もあしし。は やく男にちかづくべからず。七 夜(や)の 内 生肴(なまざかな)くふべからず。或ははやく 髪(かみ)あらひ行水(ぎやうずい)など早(はや)くする はあしゝ。惣(さう)じてさんごにも物 しづかに養性(やうじやう)すべし。いかり かなしむ事いむべし。口(こう)ちうの そうぢは/爪(つめ)を取などおそくす べし。又生れ子物こゑあげぬ先(さき) にわたにて指をつゝみ。口の内の 古血(ふるち)を取べしのみこめば ほうそうおもき物としるべし 【左頁上段 題 右から読む】 子(こ)之(の)育(そだて)様(やう) 子をそだつる事母をやつね〴〵 心得有べし。たとへのごとく 氏(うぢ)よりそだちとてくいもの 万事(ばんじ)いやしからぬやうにすべし 又 食事(しよくじ)は多(おゝ)きより少(すく)なき 事よしいふくも子供の時より おほくきすれば年たけて 其くせうせず。少うすくきす べし。つよく泣(なか)する事どく なり。又ちいさきときに。人 だち多(をゝ)き所へつれ行こと なかれ気をのぼし。どくなり 我まゝになきやう《割書:二》そだてへし 【左頁下段 題 右から読む】 客(きやく)噯(あしらひ)之(の)所(ところ) 夫(をつと)の家(いへ)に客(きやく)来(きた)る時さつそく 言葉(ことば)をかけてよく〳〵念比(ねごろ)に 誰(たれ)人さまもあしらひ□□□□□□ 惣して上下(かみしも)の人あれ□□も あいさつつど〳〵に心がけべし 去(さり)ながら男のあいさつある内 さし出物いふにはたゝなかれ よき程に心得るべし物いひすぐ るは見ぐるし。或は客 食事(しよくじ)の時 中ば過にして。其客■■に あいさつすべし。又ちかづきにて なき客には夫(をつと)の引合(ひきあはせ)を待(まち)ゐ てあいさつをすべし