翻刻
【右丁上段】
ぎをん御こしあらひ
【右丁下段】
【見出し】
きりつほ【源氏香の図 注】
【見出し下より本文】
此きりつほの巻は巻の中のこと
ばをとりて名(な)としたるなり。きり
つほとは大内(おほうち)にある御殿(ごてん)の名なり。その桐つほに
ゐ給ふ更衣(かうい)なれはきりつほの更衣と申也。更衣
とは后(きさき)につぎたる女官(によくはん)にて此女官の御局(みつほね)にて
みかどつねに御衣(きよい)をめしかゑ給ふ。更衣とはころも
かゆるとよむゆへになつくるなり。此更衣はみかど
御てう愛(あひ)あさからす此御はらにいてき給ふ御子を
光源氏(ひかるけんし)の君と申なり此巻には更衣をみかと
の御てうあひふかくありて。ひかる源氏のうまれ
給ふのちふかく煩(わつらひ)給ひてついにかくれ給ふ也又源氏
十二歳の御とし御元服(こけんぶく)まし〳〵て左大臣(さたいしん)の
御むすめあふひのうへと御こんれいの事まで
ありみかとの御哥に○いときなきはつもともとゆひ
にながきよをちぎる心はむすひこめつや○此
心はけんぶくの時の髪を紫(むらさき)のくみたるいとにて結(ゆ)ふ
これをはつもとゆひといふなり。なかきよをちぎる
心とはあふひのうへをこよひ御そひぶしにとの心は
むすびこめよとなり○源氏十三四五歳の御
としのことも此巻にこもりてあるなり
【左丁上段】
ぎをんのすゞみ床
【左丁下段】
箒木(はゝきぎ)
数(かず)ならぬ
ふせ屋に
おふる
なの
うさに
あるにも
あらで
きゆる
はゝきゞ
【注 源氏香の図があるのは違っている。源氏物語五十四帖のうち、最初(桐壷)と最後(夢浮橋)の巻は源氏香の図が無い。】