東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 23

ページ: 23

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【小見出し】函谷(かんこ)鉾 四条室町の東より出る 〇此 因縁(いんえん)はもろこしの 孟嘗君(まうしやうくん)秦(しん)の 兵(つはもの)に おそはれて夜中に函谷(かんこく)と いふ関(せき)所を通り鶏(にはとり)のまねをして 難(なん)をのがれし故事なり 【小見出し】木賊(とくさ)山【▢で囲む】 五条坊門油小路の東 ̄ヨリ        出 ̄ル 〇此山の気色(けしき)は 仲正の哥に  とくさかりそのはら山の木間(このま)より  みがゝれ出る秋のよの月《割書:此哥の心也》 【小見出し】孟宗(まうそう)山【▢で囲む】 烏丸四条北 ̄ヨリ                      出 〇俗に筍(たかんな)【「笋」は「筍」に同じ】山と云 此山は二十四孝にのする 孟宗孝行によつて寒中(かんのうち)に雪の中より 竹の子を取て母にあたへし古事也 【小見出し】白楽天(はくらくてん)山【▢で囲む】 室町通四条 ̄ヨリ 壱丁南松本町より出 ̄ル 道林(だうりん)禅師 楽天(らくてん)と ほうもんのてい也 【右丁下段】 「うつせみ【源氏香の図】」【見出し語の上下左右に鉤かっこ】 此巻は哥の詞をもつて名つけたる なり。源氏十六歳の夏のころ。 うつせみの君のつれなきに猶心をかけ給ひて。うつ せみの弟小君とひとつ車にしのひめしていよの介か もとへかくれ入給ひて見給ふに。うつせみはのきばの荻 といふうつせみのまゝ子と碁(ご)をうちてゐたり。碁 をうちしまひたる後のきばの荻(をき)とならびねたる 所へ。源氏の君忍ひより給ふ。おとをきゝてうつせみ きたるきぬをぬぎすてゝ出たるを。源氏はそれと しり給はす。思ひがけなきのきはの荻にあひて。 かへりさまにうつせみのぬきをけるきぬをとりて かへりてよみ給ふ〽うつせみの身をかえてげ【ママ】る木(こ)の もとに猶人がらのなつかしきかな。此哥の心は。 蝉(せみ)といふものはきぬを木のもとにぬきをく物 なり。身をかふとは蝉のもぬけにたとへ。人がらとは せみがらによそへてかのぬぎをきしきぬになぞ らへて。うつせみの君をなつかしく思ふとの心也。 かへしの心に〽うつせみの羽(は)にをく露(つゆ)のこがくれて しのひ〳〵にぬるゝ袖かな。此心は世間(せけん)を思ふゆへ あひがたけれ共。人しれす袖をしほるそとの心也 【左丁上段】 【小見出し】菊水(きくすい)鉾【▢で囲む】室町四条の北より出る 〇此因縁は費長房(ひちやうばう)の 告(つけ)に任(まか)せて九月九日に 赤(あか) ̄キ 袋(ふくろ)に茱萸を入て ひぢにかけ高き所に上りて 菊花の酒を呑(のみ)て災難(さいなん)をのがれし古事也 【小見出し】飛天神(とひてんじん)山【▢で囲む】錦(にしきの)小路新町の東より出 ̄ル 〇此山は菅丞相(かんしやう〴〵)つくしの 大宰府(だざいふ)におはします 時 古里(ふるさと)の梅 東風(こち)ふかばの 御詠哥(こゑいか)に梅つくしへ飛しゐんえん也 【小見出し】蟷螂(かまきり)山【▢で囲む】西洞院(にしのとい)四条の北より出 ̄ル 〇此山は蟷螂(たうらう)が斧(をの)を もつて立車にむかふ ごとしといふ斉(さい)の荘公 の古事をつくれり 【小見出し】芦刈(あしかり)山【▢で囲む】綾(あやの)小路油小路の東より出る 〇此山は昔(むかし)津の国くさかの 里(さと)に左衛門といひし 人わびて夫婦(ふうふ)相わかれ 芦をかつてうりたるといふ古事也 【左丁下段】   夕顔(ゆふがほ) よりて   こそ それ  かと    も 見め  たそ かれに ほの  〳〵  みゆ【ママ】る 花の  ゆうがほ