東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 27

ページ: 27

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【見出し】「もみちの賀【源氏香の図・注②】」【▢で囲む】 此巻は詞をとりて巻の名と せり。源氏十七歳の十月より 十八歳の七月まてのことあり。紅葉の賀とは 比しも十月なれは紅葉をもてなして御 賀(が) あり。賀(〝)とは天子四十にならせ給ふ時をいはひて をこなはるゝこと也。さて此賀にはもみちのもと にて伶人(れいしん)【雅楽師】の舞あり。殿上人(てんしやうひと)みやたちも其き りやう【才能】あるは舞給ふ。源氏はせいがいはといふ曲(きよく)を 舞給ふ。そのおもしろさにみな人かんにたへたり。【深く感動する】 巻の詞に。こだかき紅葉のかけに四十人かいしろ。【注①】 いひしらす【何とも言えない】吹たてたるものゝねともあひたる松 風まことのみやまおろしと聞えて。吹まよひ辺 辺にちりかふ木の葉の中より。青海波(せいかいは)のかゝ やき出たるさま。いとおそろしきまてみゆ。かさし の紅葉いたうちりへたるなとあり。けんしの哥 〽物思ふに立まふへくもあらぬ身のうでうちふり し心しりきや◯心はわか身物思へは立出ん 心もなかりしに。たゝ藤つほにみせ奉らせ給ふへき とのみかとのおほせありしによりずい分舞の手 をつくししくなりさやうの心をしり給ふかと也 【注① 舞楽、特に青海波(せいかいは)の舞のとき、立ならんで笛を吹き、拍子をとる人々の作る円陣。垣のように舞人をとり囲むからいう。】 【左丁上段】 【見出し】「女謡(をんなうたひ)教訓(けうくん)絵抄(ゑせう)  」【見出し語の上下左右に飾り鉤かっこ】 湯谷(ゆや) ゆやは平宗盛(たいらむねもり)公 召(めし)つかひの女なり湯谷(ゆや)が老(らう) 母(ぼ)ふる里より逢(あい)たきよしにて朝(あさ)かほといふ女に みを上し暇(いとま)を乞(こひ)候へ共宗盛公よりいとま出ず 清水寺の花見に同し車(くるま)にて参詣(さんけい)有しに 花もさかり成しに湯や一 首(しゆ)つらねし哥に ○いかにせん都の春もおしけれどなれし東(あつま) の花やちるらん 此哥のさまあはれにおぼし めし御 暇(いとま)たびてげりゆやはうれしく又もや 都に御供して御意のかはるべきやとすぐに東に にかへりしなり。哥の徳かう〳〵のとくなり 【左丁下段】   花宴(はなのえん) いづれ   ぞと 露(つゆ)の  やど   りを わかん  まに こさゝが  はらに 加 勢(せ)も  こそふけ 【注② 紅葉賀の図ではなく、薄雲の図。正しくは、右から一番目と三番目と四番目の縦線の上部を横線で繋いだもの】