東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 29

ページ: 29

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【右丁】 道成寺(だうじやうじ) 道成寺(だうじやうじ)鐘(かね)のくやう有しに。女きんぜい【禁制】と有(ある)所に 白拍子(しらひやうし)の女参りしを寺僧(ぢそう)共舞をまはせ其 替(かは)り にくやうの場(ば)へ入れ しかば。彼(かの)女此 鐘(かね)うらめしやとて 引かづきぬ。此いはれは昔(むかし)真砂(まさご)の庄司(しやうじ)といふものゝ 息女(そくぢよ)くまの参りの山 伏(ぶし)。庄司もとにとまりし。度(たび) 毎(ごと)に。つまに持(もつ)べきなどたはふれ置(をき)しが。ある時 山伏又とまりし夜 彼女(かのむすめ)夜 更(ふけ)てねやに来り。急(いそ)ぎ 我をつれ行 妻(つま)にし給へといふ。山ぶし驚(をどろき)夜ぬけ にして道成寺へかけ入かねの内にかくれぬ女 跡(あと) をしたひ追行一念のどくじやと成山ぶしを取ころし ぬ。か様成一念は親への不 孝(かう)たしなむべき事なり 【右丁下段】 【見出し】「あふひ【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこし全体を▢で囲む】 此巻は歌をもつて名つけたる也 源氏廿一歳より廿二まての事 あり。けんしの北のかたをあふひのうへといふ。かもの まつりを見に出給ふに御車のたて所【たてど=たてるべき場所】を御ともの 人〳〵あらそひて。六条のみやす所の御車をうち そんじなどせしより。加茂のまつりの車あらそひ といふ也。そのうらみにものゝけとなりてあふひの うへそのとしの八月にとりころされ給ふ也○【別本にて】かもの まつりの日源の内侍(ないし)源氏によみてたてまつる歌 〽はかなしや人のかざせるあふひゆへ神のしるしの けふをまちける○此心はその日けんしは紫のうへと 同車(とうしや)にて出給ひてけれは。あふひをあふ日にとりて けふ君にあはんと神のゆるしをまちけるに。人 と同車し給ふゆへにけふをまちしかひもなき ことなりとよめり○けんしの哥に〽はかりなき ちひろのそこのみるふさのおひ行末は我のみ そみん○此心は紫のうへの御ぐしをとり上給ふ。 御かみのうつくしきは。みるふさといふ海にある藻(も) のごとく也。猶此うへいかはかりなかくおひそへん其 ゆく末はけんしのみ見たまはんそとの心なり 【左丁上部】 籠太鼓(ろうたいこ) 籠太鼓(ろうたいこ)は。松浦(まつら)の何某内(なにがしのうち)清次といふ者(もの)他所(たしよ)にて 口論(こうろん)して敵(てき)を討(うち)帰りしに。人をあやめしとが人 とて籠(ろう)に入置しに。ぬけ出見えざりし故。清次か 女房其 替(かは)りに籠(ろう)に入れ置れしに。番(ばん)の者 報(つぐこと)を かけて一時かはりに番(ばん)をする。女 狂気(きやうき)に成しを 松浦(まつら)不 便(びん)に思召。籠よりたすけ。出候へと有しに。妻の 替(かは)りに入し事なればとて。出ざりし心ざしをかんじ いよ〳〵たすけられ。夫(つま)のあり所を語り候へ。夫もろ ともたすくべきよしありがたし。今こそつまの あり所あらはし。二たびめぐりあひちぎりし也。 女のおつとを大せつにしたる徳なりとかや 【左丁下段】   榊(さかき)  神垣(かみがき)    は しるしの  杉(すぎ)も なき  ものを いかに  まがへて おれる  さか木ぞ