東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 36

ページ: 36

翻刻

【右丁上段】 左 素性法師(そせいほうし) 見わたせは   柳桜を こきまぜて     都は【正しくは「そ(ぞ)」】 春のにしき成けり 右 紀友則(きのとものり) 夕ざれはさほの かはらの川風に をきまどはして  ちとり鳴(なく)也 左 猿丸大夫(さるまるたゆふ) 遠近(をちこち)のたつきも  しらぬ山中に をぼつかなくも   呼ぶこ鳥【濁点(”が付いている】かな 右 小野小町(をのゝこまち) わひぬれは身を 萍(うきくさ)のねをたへて さそふ水あらば  いなんとぞ 【左丁上段】       ふくかと みじか夜の  ぞ    更行(ふけゆく) きく みね  の  まゝに 松  高砂(たかさご)の 風 左 中納言兼輔(ちうなごんかねすけ) 【散らし書き風に記しているので詠みにくいですが、「みじか夜の更行まゝに 高砂のみねの松風ふくかとぞきく」という歌です。】 右 中納言朝忠(ちうなこんあさたゞ) あふことの絶(たへ)てし  なくば中〳〵に     人をも 身 をも恨(うら)みざら      まし いせの海  今は  ちひろの   何(なに)    浜(はま)に てふ     ひろふ かひか   とも  有へき 左 権中納言敦忠(ごんぢうなこんあつたゝ) 【「いせの海のちひろの浜にひろふとも 今は何てふ かひか有へき」】 右 藤原高光(ふちはらのたかみつ) かく計へ   がたく みゆる世中に 浦(うら)山しくも  すめる月かな 【右丁中段】 【月の項には大きい○、日の項にはやや小さい○。】 奈良(なら)般若寺(はんにやじ)文殊(もんじゆ) 会(ゑ)○廿八日ひゑい 山にて山王まつり○ 中午いなり明神御出 ○四月○一日近江 筑摩(つくま)祭○きぶね 神事○八日ひゑい 山 花(はな)つみ諸寺にて 仏生(ぶつじやう)会○十四日 和州当麻(わしうたへま)ねりく やう△初卯いなり 祭同卯日 摂州(せつしう)住 吉御神事△中申 山王祭△中酉の日 かもあふひまつり ○五月◯朔日 江州松本ひら野ゝ神 祭○五日かもの けいばふし見藤の森 祭○七日今宮 の御出○十五日今 みや祭○十六日 永(ゑう) 観堂大般若(くわんたうだいはんにや)○廿三 【左丁中段】 日 清水(きよみづ)寺田村丸ゑ【会】 さかもと両社祭 ○廿八日摂州住吉 御田うへ○晦日祇 園御こし【神輿】洗ひと夜 御こし一 基(き)四条宮 河のほとりに出し 奉りて水をそゝ き塵埃(ちりほこり)をのぞき 侍るこれをみこし あらひと申侍る 折からしはゐの役(やく) 者(しや)おのが家々(いへ〳〵)の紋(もん) 提灯(てうちん)をともさせて 御こしをしゆごし奉 いと興(けう)ある見物な れば老若なんによ くんじゆ【群集】し侍る ○六月◯朔日 氷室(ひむろ)の氷(こほり)を奉る 大坂天王寺 勝(しやう)まん 祭○五日きをん 会 鉾(ほこ)のわたり 初○六日同じく 【右丁下段】 【見出し】「せき屋【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け、全体を▢で囲む】 此巻は詞をもつて名とす せき屋よりさとをはつれ出 たるとあるによつて也。源氏廿八才の九月の 事也。石山へまうて給ふ。折ふしうつせみの君は つまのひたちのかみかくだるにつきて行しか。 此たひは又ついてのほるとて。せき山にてあひ 給ひしかは。むかしのことを思し召いてゝ。弟の 小君がまいりたるに。忍ひて御文あり哥に 〽わくらはにゆきあふみぢとたのみしもなを かひなしやしほならぬうみ○哥の心わく らははたまさか也。あふことは此あふみぢといふを たのしみに。みづうみはしほのさらぬうみなれは。 みるめといふ草のなきことく。あひみる事の ならぬよとの心也。うつせみのかへしに 〽あふ坂の関やいかなる関なれはしげきなげ きの中をわくらん○此心はあふ坂の関はいか なる関なれは。まいり逢てかくものおもひ なけくことそといふ心也。あふ坂といへはあひ逢 はづ也。あふことはせきとめて。かく杉のむらたち【群って立つこと】 しけきか。ふたりの中をわけて物思はすると也 【左丁下段】   絵合(ゑあはせ) うきめ  見し その  おり よりも  けふは 過(すぎ) 又(また)  にし   方(かた)に かへる  なみだか  ̄オクリガナしかへしにそ