東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 37

ページ: 37

翻刻

【右丁上段】      おどろ 秋来ぬと  目には  さやかにみえね共 かれ 風の音  ぬる  にぞ 左 藤原敏于朝臣(ふぢはらのとしゆきあそん)【正しくは「敏行」】 右 源重之(みなもとのしけゆき) 風をいたみ岩   うつ波(なみ)の     をのれのみ くだけて  物を思ふころかな 左 源宗于朝臣(みなもとのむねゆきのあそん) 常盤(ときわ)なる松  緑(みとり)も の   春くれば  今一しほの    色まさりけり 右 源信明朝臣(みなもとのふあきらあそん)【正しくは「さねあきら」】 恋しさはおなし  心にあらず共 こよひの月を  君(きみ)見ざらめや 【左丁上段】  きかまほしさに 今一 声(こゑ)の    郭公(ほとゝぎす) くらしつ 行やらで山 路(ぢ) 左 源公忠朝臣(みなもとのきんたゝあそん)  しらべ初(そめ)けん       より いづれのを の松風かよふらし 琴(こと)のねにみね 左 斎宮女御(さいくうのにようご) 右 壬生忠岑(みぶのただみね) 子日【子の日】する    野へ 小松の に   なかり     せば ためし   ちよの  に何を引(ひか)まし【濁点あるは誤記】 右 大中臣頼基(おほなかとみよりもと) 一ふしに千(ち)よを  こめたる    杖なれは つく共つきじ     君がよはひは 【右丁中段】 山(やま)のわたりぞめ ○七日ぎをんの 会○十日ゑいざん ゑしん院源信忌○ 十四日きをん御こし くわんかう○廿日 くらま竹きり○廿 二日大坂座摩宮 まつり○天満天 神夏かぐら○晦日 堺住吉御はらひ ○七月◯七日京 北野 御手水(みたらし)神事 ○九日《割書:今|明》両日洛 東 六道(ろくだう)参りまた 清水千日まふで ○十三日 宇治(うち)黄(わう) はく山せがき○十 五日八はた安居(あんご)の 頭(たう)同洛東ちをん院 大せかき山門にて 行ふ此日三井寺へ 女人の参詣(さんけい)を赦(ゆるす) ○廿四日六地蔵参り 【左丁中段】 ○八月○三日 堺(さかい)天神祭○五日 江州 白(しら)ひげ大明神 かい帳○八はた 放生会(はうじやうゑ)○十八日 上下御霊の祭り ○廿二日うつまさ 聖徳太子かい帳 ○廿四日吉田木 瓜【こうり】大明神祭 ○九月○四日 木はた祭○八日 せんゆふ寺舎利 会○九日伏見 御(ご) 幸(かう)【「香」の誤記ヵ】の宮祭大坂 生玉社祭○十日 五条天神祭○十 一日吉田 例幣使(れいへいし) ○十三日津のくに 住吉宝の市○ 十八日池田くれは 祭《割書:十九日|あやば》○廿二日 大坂座摩祭○廿 五日天満天神宮の 【右丁下段】 【見出し】「ゑあはせ【源氏香の図 注】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け、見出し語全体を▢で囲む】 此巻は詞をもつて名とせり 源氏三十歳の三月の事也 その比のみかとは源氏の忍ひて通ひ給ひて まうけ給ふ藤つほの御子也みかとの御代 になりて源氏よろつをはからひ給ひいせひ めてたかりし也みかとよのことよりも絵(ゑ)を好(この) ませ給ふによりゑあはせといふことあり源氏は 須磨にて書をき給ひし御ゑをとり出で あはせ給はんとて紫のうへにはしめて見せ 給ふことのをそかりけるをうらみて哥に〽ひとり ゐてなかめしよりはあまのすむかたを書てそ みるへかりける○此心は源氏は須磨にてはかくゑ かき給ひてなぐさみ給ふこともありし我のみ ひとりゐて物思ひしことなるにわれもゑを かきてなくさむへき物をとの心也○源氏の御 哥に〽うきめみしそのおりよりもけふはまた 過にしかたにかへるなみたか○此心は源氏の すまの浦へうつろひ給ひしうきわかれを見給ひ し時よりもけふ此ゑをみてかなしく思ひ給へは 須磨のことなと立かへる心になりたるそとなり 【注 源氏香の図が違っている。正しくは右から二本目の線が上の横線とつながっていない。】 【左丁下段】  松風(まつかせ) 身(み)をかへ    て ひとり  かゑ  れる ふるさとに  聞(きゝ)し    に にたる  まつ かぜぞふく