東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 44

ページ: 44

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【右丁上段】 ○一とせを中にへだてゝ逢(あひ)見まく 水尾院  ほしのちぎりや思ひつきせぬ ○空(そら)にけふめぐり逢(あふ)らし七夕の 道晃  ほどは雲(くも)ゐに待し月日も ○露けさもしらでや里の重(かさ)ぬらん 通茂  秋くる宵のあさの羽ごろも ○天津星(あまつぼし)秋待わたる河なみは  資茂  けふや嬉(うれ)しき瀬にかはるらん ○定(さた)め置(をき)し年の一夜はいたつらの よみ人  なき世やうら見ほし合の空    しらず ○明ぬれば暮(くる)る物ともあふ事を  通茂  たのめぬ星(ほし)や夜をゝしむらん ○よそながら思ふもくるし七夕は 内房  としにまれなる中のちぎりは ○彦星(ひこぼし)のこよひ逢(あふ)せをむかひ舟 雅房  よすればかへる名残(なごり)をぞ思ふ ○今宵逢星のいもせの中にをつる 通福  天の河かぜ月にすゝしき ○空に住しらべも秋にあふほしの 雅直  こゝろ行(ゆく)夜(よ)の糸竹【注】のこゑ 【注 弦楽器と管楽器】 【右丁下段】 【見出し】こてふ【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 此巻は詞と哥とをもつて名つけ たる也。源氏三十六歳の時なり。 むかしは院宮后(ゐんみやきさき)なと季(き)の御読経(みときやう)とて春秋に 大般若経(たいはんにやきやう)をよみて法事(ほうじ)あり。秋(みやす)このむ(所の御娘)中宮は 六条(けんし)院にてをこなはせ給ふ。そのついてにむらさき のうへも仏に花たてまつり給ふとて。中宮の御方へ 花まいらせらる。とりてふといふ舞(まひ)人にわらはを八人 かたちことにつくりたてゝ。とりには白かねの花かめに さくらをさして。てふにはこかねの花かめにやまふきの 色をつくして。八人のわらはへともみはしのもとにて 花たてまつる。紫のうへの御せうそく。夕霧の大将に をほせて御かへしある哥に〽花そのゝこてふをさへや したくさにあきまつむしはうとく見るらん○此心は 秋このむ中宮はさためて秋をこそまち給ふ らめ。さあれは花そのゝこてふなとはめのしたに 見給らん。秋まつむしの心には春のこてふをうとく 見るはつ也とよめる心なり。この秋このむ中宮の ことは。乙女の巻に見えたり。秋このむの哥。心からはる まつそのはわかやとの紅葉を風のつてにだに見よ。 こららより秋このむみやといへり 【左丁上段 挿絵 文字無し】 【左丁下段】  蛍(ほたる) 声(こえ)は  せで 身(み)を  のみ こがす ほたる  こそ いふより  まさる おもひ  なるらめ