東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 46

ページ: 46

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【右丁上段】 ○逢(あふ)を待(まつ)天の河原(かはら)の川風に  資慶  をばなが袖も舟まねくらし ○契(ちぎ)りこそ一夜といへど浅香(あさか)山 後西院  あさくはあらし世々のほし合 ○今宵(こよひ)又 衣(ころも)かたしき彦(ひこ)ぼしの 《割書:|後》水尾院  恋やまさらん宇治(うぢ)のはしひめ ○七夕の身をつくしつゝなには江の 雅量  あしの一夜となどちぎりけん ○今宵(こよひ)逢ほしの契りは長浜(ながはま)の   同  真砂(まさご)をつきぬ秋のかせかも ○絶(たへ)せじなあふ瀬(せ)にわたす鵲(かさゝぎ)の 経慶  よりはの橋(はし)【注】のかけしちぎりは ○けふごとにかすてふ橋はかさゝぎの よみ人  羽(はね)をならぶる契りたえじな     しらず ○浅からぬ契りしられて天の川  雅景  あふ瀬にわたすかさゝきの橋 ○七夕を思ふに夢のわたりとや  通茂  たどる一夜のかさゝぎのはし ○めぐりあふ二の星やかさゝぎの 雅喬  より羽に契る天のうきはし 【注 「寄羽の橋」=鳥が羽を寄せ合ってかける橋。特に、七月七日の夜、牽牛・織女の二星が相会う時、天の川に鵲(かささぎ)が羽を並べてかけるという橋。】 【右丁下段】 【見出し】「とこなつ【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 此巻は哥と詞をもつて名とする也。 詞にはなてしことあり同し事なり。 源氏三十六歳の夏の事也。玉かつらのすませ給ふ 所をにしのたいといへり。此御かたの庭になてしこの 色〳〵。からのもやまとのもうへわたされ。かきゆひて 咲みたれたるに。夕かほのうへの御ことを思召いたし 給ひてけんしの御哥に〽なてしこのとこなつかしき 色をみはもとのかきねを人やたつねん○此心は 玉かつらをまことの ちゝ君(頭の中将也)にいゝあらはしたらは。必(かならす) 夕か(玉かつらの母)ほのゆくゑをたつね給ふへし。それは源氏の 心にいやに思ふことは うき(夕かほ)めを見給ふゆへ也。なてし こは子といふ心。とこなつかしきはとこなつをいゝかけ たる也。玉かつらの歌に〽山かつのかきねにおひし なてしこのもとのねさしをたれかたつねん○此 哥の心山かつのかきねは玉かつらの母夕かほの事をは 卑下(ひげ)していゝ給ふ也。いままことのちゝにあはせたり共。 なにしにもとのことまてことなかくとひ給ふことは あるましきほとに。たゝとくたいめんあらせ給へとの心 なるへし。かくの給へはけんじもかゝることをは聞 給ひて。ひとしほ御心くるしきかりけるなり 【左丁上段】 【見出し】「女たしなみ草【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 △人の前(まへ)にて楊枝(やうじ)をつかひ歯(は)をせゝり舌(した)を  かき。あるひは楊枝をくはへて人に物いひ  又 位(くらゐ)なくして大やうじつかふ事 △茶(ちや)の水を手(て)あしにつかひ又 手水(てふづ)にてあしを  あらひなどし。朝うがひ手水(てふづ)せず髪(かみ)ゆはず  人の前へ出る事 △戸障子(としやうじ)あらくたて明すること并にゑん板(いた)  をあし音(をと)高(たか)くありき。或(あるひ)は手をぬきいれて  人にものいふ事 △貴人(きにん)の御近所(ごきんぢよ)にて高鼻(たかばな)かみ高(たか)ざふたん【雑談】  并に深夜(しんや)の高(たか)ばなしの事 △客(きやく)の手水(てふづ)てぬぐひをみだりにつかひ他(た)のあせ  手(て)ぬぐひにて手をぬぐひ。あるひはあふきを引  ばひ【引き奪い】つかふ事 △をし板 敷居(しきゐ)。いるり【いろり(囲炉裏)に同じ】ぶちへのぼり并に火燵(こたつ)へ  ふかく入る事 △机(つくゑ)にのぼり。あるひは人の書(かく)つくゑにあたり  他(た)の硯(すゞり)そばよりつかふ事 △盤(ばん)のあそひあかりさきにて見る事并におや  かたかましき人にいけんいふ事 【左丁下段】  篝火(かゞりひ) かゞり   火(ひ)に たち  そふ 恋(こひ)の けふり   こそ よには  たえせぬ ほのほなる    らん【「なりけれ」とあるところ】