東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 49

ページ: 49

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【右丁上段】 ▲高き所 或(あるひ)は馬などよりをち手あしを をりたるには其まゝ銅(あかゝね)の粉(こ)を酒にて呑(のむ)べし ▲釘針(くぎはり)など身にをれこみたるには。ざうげ の粉(こ)を水にてとき付れは其まゝぬくる也 ▲咽喉(のど)に骨(ほね)たちたるには鯉(こい)のうろこを能(よく) あぶり粉にして水にて飲(のめ)ば忽(たちまち)ぬくる也 ◯又 榎実(ゑのみ)を粉にして呑(のむ)もよし◯蜜柑(みかん) の実(たね)を黒焼(くろやき)にして水にて飲(のめ)ばぬくる也 ◯白鶏頭花(しろけいとうけかや)の実(み)せんじてのむもよし ▲火焼(やけど)の薬。くちなしの粉(こ)をかみの油にて とき付てよし◯又しやうゆをぬるもよし ◯鶏(にはとり)の玉子をつぶし朱(しゆ)少し加(くは)へ付れば あとなくいゆる也▲又湯やけ火やけ共に 淡竹(はちく)の皮(かは)を黒(くろ)やきにし。里芋(さといも)をやき。おし まぜ。ごまの油にてねり付ればよし◯又 小便(せうべん)のきご【意味不明】を付れば最束(さつそく)うづきたすかる也 ▲耳(みゝ)の内(なか)へむしの入たるには韮(にら)をはたき汁(しる)を 取。酢(す)にまぜて耳の中へ入べし則出る也 ▲耳(みゝ)の内に物いできいたみなやむには茄子(なすび) 香(かうの)物の成ほど久しきを引さき其 汁(しる)をしぼり 【左丁上段】 みゝの内へ入べし。是きめう成くすり也 ▲耳(みゝ)たれの薬。紅(べに)【別本にて】をこくときてみゝの中へ 入てよし◯又 沈(ぢん)【注①】の灰(はい)をかみの油にて入て吉 俄聾(にはかつんぼ)の薬◯いわう【硫黄】おわう【雄黄 注②】二 味(み)等分(とうぶん)粉(こ)に して綿に包(つゝみ)耳(みゝ)をふさぎをけば日かずをへて きこゆる也。惣(そう)じて耳の薬は髪(かみ)の仲よき也 ▲頭(かしら)にふけ出来たる時。このてがしはの葉(は)を 生(なま)にて一 握(にぎ)り。長さ三寸に切。水一はい入て 七八ぶんにせんじ。少しさましあらへばよし ▲むし喰歯(くいば)の薬 さんせう二分。はづ【巴豆】半両。【注③】 あぶらをぬきて此二味 粉にし食飯(そくい)にて丸じ 穴(あな)の仲へ入てよし◯又にらのはをもみて塩 すこし入虫(むし)くふ歯(は)にくはへてよし ▲声(こゑ)のかれて出ざるには◯さいかし【「さいかち(皂莢)」に同じ】皮(ひ)。実(み)をさり て。生(なま)大こんを三寸ほどをうすくへぎ。水一はい 入半ぶんに煎(せん)じのみてよし▲舌(した)に物 出来(いでき) たるには◯せいたい黄蘗(わうばく)【「きはだ」の異名】二 味(み)を粉(こ)にしていたむ 所にひたもの付べし▲口中たゞれ破(やぶ)れたる には細辛(さいしん)黄連(わうれん)を粉にして付てよし ▲したのやぶれ物のしむにも此くすり吉 【注① 熱帯地方に産する喬木の名。木質が重く、水に沈む。】 【注② 天然産の砒素の硫化物。樹脂状の光沢がある黄色の結晶。染料、火薬などに用いる。】 【注③ 薬種、香などの量目の単位。古くは五匁。近世以降、四匁四分。】 【右丁下段】 【見出し】「みゆき【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付全体を▢で囲む】 此巻は歌をもつて名とせり。 源氏卅六歳の十二月より 三十七才の二月まてのこと也。みゆきとは行幸と かく天子の外へ御出あるをいふ也。院の御いて をもみゆきといへとも御幸とかくいつれもみゆ きとよむ也。みかとの御こしなさるゝさき〳〵 さいはひあるゆへにいふ也。此みゆきは大はらのゝ 行幸也。みかとの御うた〽雪ふかきをしほの 山にたつきしのふるきあとをもけふはたつねよ 此心は此日けんしは御ものいみにて御いてなき によりて。ざんねんにおほしめすとの御あひさつ の御こゝろ也。ふるきあとゝはむかしえんぎのみこと 此おほはらのゝみゆきのとき。大政大臣(たいしやうたいしん)の御ともに てありしせんれいを思召いつる也。此みゆきは御狩(みかり) なれは雉子のあとをたつぬることのえん也。けんし 御かへし〽をしほ山みゆきつもれる松はらにけふ はかりなるあとやなからん◯此心はおほはらのゝ みゆきは。むかしより代々にあれとも。けふほとなる みゆきのめてたきことはあるましきとの心なり。 みゆきと雪とをそへてあとあることをよみ給ふ也 【左丁下段】  蘭(ふちばかま) をなじ   のゝ つゆ   にや ぬるゝ【「やつるゝ」とあるところ】 ふぢ  ばかま あはれ    は  かけよ かごと  ばかりも