東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 50

ページ: 50

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【右丁上段】 ▲銭(せに)のどにつまり。或は呑込(のみこみ)たるにはすみ火を つきくだき粉にし目壱匁酒にて飲(のむ)べし 常(つね)の炭(すみ)はあしく。火にをこし粉にすべし ▲子どもの身のかゆきには。しやうがをくだ き。ぬのにつゝみなづればすなはちやむ也 ▲同くさには胡分(ごふん)をつばきにてとき付て吉 ▲はゞき瘡(がさ)【注①】の薬◯五ばいし【五倍子】をいり粉(こ)にして 百(なへ)草の霜(すみ)をくはへごまの油にて付てよし ▲たむしの薬◯めなもみ【注②】を酒にてむし。 よく干(ほし)粉(こ)にして塩(しほ)を少しくはへ日に 【注① 脛巾瘡=皮膚病の一種。湿疹・痒疹などをいう。多く脛巾を着けるあたりに起るところからいう。】 【注② 豨薟=キク科の一年草。各地の山野に生える。漢方では全草を干したものを豨薟(キレン)と呼び、神経痛、リウマチ、中風などに用いる】 【左丁上部】 二三度づゝぬりてよし。なまず【注③】にもよし ◯又 羊蹄(しのね)【「れ」とあるは誤記】【注④】の元(かぶ)。俗(ぞく)にぎし〳〵の根(ね)といふ 是を切て。其 木口(こぐち)にてするべし。黒(くろ)く ならば。こぐちをひたもの【ひたすら】切てすり付るがよし ▲なまずの薬◯ぬなもみの葉。くるみの 葉いわうのはな。右三色をよくすりその葉 汁共に付べし◯又そばの葉(は)をせんじ。よく あらひ。其あとへいわうとくちなし等分(とうふん)に あはせ付。しばし程(ほと)へてあらひをとすべし ▲いぼほうくろにきびのぬきぐすりは。 あかざの灰(はい)を水にてとき銅(あかゝね)の鍋(なべ)にて煮(に) て。かうやくのごとくにして。針(はり)にてすこし つきやぶりて。是を付れば三度にへずして よし。又 続随子(ぞくずいし)【注⑤】の生(なま)なるをつぶして付てよし。 ▲あざこぶには◯天なんしやう【天南星 注⑥】を粉(こ)にし 生漆(きうるし)にてねり付。紙(かみ)をふたにする也。又 六月 土用(どよう)にとりかげぼしにし。餅(もち)米を 水に一 夜(や)つけ置(をき)とりあげて二日ほし かきばひ【牡蠣灰】と三 色(いろ)を等分(とうぶん)にしてあざこぶ の上をこそげやぶりて付る◯又かはらよ 【注③ 癜=皮膚病の一種。糸状の細菌が寄生して、胸や背中などに茶色や灰白色などのまだらができるもの。しろなまず・くろなまずの類。】 【注④ 羊蹄は植物ぎしぎしの漢名。しのねとも言い、新鮮なものをつき砕いて、皮膚病の患部に塗布し、また、大黄の代用として緩下剤とする。】 【注⑤ 植物「ホルト草」の異名】 【注⑥ サトイモ科テンナンショウ属の総称。塊茎は有毒だが、晒して救荒食ともし、漢方では、鎮痙・袪痰・発汗・健胃剤などとする。】 【右丁下段】 【見出し】「ふちばかま【源氏香の図 注⑦】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 此巻は哥とことはとをもつて名 つけたり。ことはにはらにとあり。 らにはらんといへるくさ。すなはちふちはかまのこと也。 夕きりの大将玉かつらの内侍のいまたひけくろの もとへ御うつりなくてにしのたいにをはしける 比。らにの花のおもしろきをみすのつまよりさし いれて御袖をうこかしてよみ給へり〽おなし のゝ露にやぬるゝふちはかまあはれはかけよかこと はかりも◯此心は同しのとは。夕きりも玉かつらも 兄弟(きやうたい)とはいへとも。まことの兄弟にあらす。いま同し 御 祖母(そほ)のぶくき給へは。ふちはかまとふぢ衣の心によみ 給へり。ふち衣はふくのうちきるころも也。おなしのの つゆにぬるゝふちはかまならは。少はかりもあはれと 思しめす御詞もあれかしと也◯玉かつらの御返し 〽たづぬるにはるけきのべのつゆならはうすむら さきやかごとならまし◯此心は玉かつらとゆふ きりとはまことの兄弟にあらす。されははるけき野 へといふへしされともはるけきのへといふへきに あらす。うすむらさきほとのゆかりはあるへしそ との心也。かことゝはかこづけたること也 【注⑦ 源氏香の図が違っている。正しくは、右から三、四番目の線の頭部が離れている。】 【左丁下段】  真木柱(まきはしら) いまは   とて 宿(やど)  かれぬ ともなれ  きつる まきの  はしらよ 我(われ)を   わするな