東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 53

ページ: 53

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【右丁上段】 ◯又 蛇床子(じやしやうし)明礬(みやうばん)二味。等分にしてせんじ前 をあらひ五倍子(ごはいし)明礬(みやうばん)を粉にして捻(ひねり)かけべし 又 韮(にら)をせんじて日に三度つゝ十日程あらふべし ▲下疳(げかん)【注①】薬◯あは粒(つぶ)のごとくうみたるには はこべのかげ干(ぼし)粉(こ)にしいわう少入かみのあぶら にてとき付てよし◯又すいかづらに甘草(かんざう)【注②】 少し入 煎(せん)じあらひ跡へめぐすりを付て妙也 ▲月水【「げっすい」または「つきのみず」という。月経のこと】の時日(じじつ)のべ度には◯蒲黄(ぼわう)【注③】続断(ぞくたん)【注④】 二色共に煮(いり)。したん。くわつろ【注⑤】こん。もぐさの くき粉にして毎日のめば月をこゆる也 ▲子のとまらぬ薬◯水銀(子)をごまのあぶらにて 一日せんじなつめの大さ程にしてすき腹(はら) に呑(のめ)ば子を生ぬ也人をそんずる事なし ▲前ひえて気味(きみ)あしきには蛇床子(じやしやうし)《割書:四両》 呉茱萸(ごしゆゆ)【注⑥】《割書:六分》麝香(じやかう)《割書:二朱》粉にして。ちいさ き梅ほどに丸(くわん)じ絹につゝみ前にいれ おけば悪物くだりていゆる也◯又 呉茱(ごしゆ) 萸《割書:半両》を粉(こ)にし蜜(みつ)にてねり丸め絹の ふくろに入て前に入おくもよし。又いわう明(みやう) 礬(ばん)二色を粉にしせんじ切々(さい〳〵)【「再々」の誤記ヵ】あらふてよし 【注① 性交によつて伝染する潰瘍の一種。ふつう陰部にできたものをさす。】 【注② マメ科の多年草。漢方医学で咳、腹痛、胃潰瘍などの治療に用いる。】 【注③ 蒲(がま)の穂の表面に生ずる黄色な花粉。止血、解熱、利尿薬に用いる。】 【注④ 「ぞくだん」=植物「おどりこそう(踊子草)の誤用漢名。】 【注⑤ 括楼。「かつろう」とも。植物「きからすうり(黄烏瓜)の漢名。】 【注⑥ ミカン科落葉小高木。果実は紫紅色に熟し、健胃、駆風、利尿薬にする。】 【右丁下段】 【見出し】「ふちのうらは【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 此巻はことはをもつて名とせり。 源氏三十九歳の三月より十二月 までのこと見えたり。雲(くも)ゐのかりの姫君を夕霧(けんしの御子) の思ひそめて年久しくなりけれども。姫君の ちゝ(あせち)君(大なこん)ゆるし給はさりしが。さてしもあるべきなら ねばゆるし給はんとの御心にて。御 庭(には)の藤(ふぢ)の 花さかりに中将をよび給ひて。さかづきのついて ちゝおとゞ藤(ふぢ)のうらばのと口ずさひ給ひしは哥 の心也〽春日さす藤のうらはのうらとけて君し 思はゞわれもたのまん。これにて巻の名とせる也 此心はそのかたうらおもてなく打とけ給はゝわれも たのまんとの心なり。ちゝ大臣の哥に〽むらさきに かごとはかけん藤の花。まつよりすぎてうれた【うれたし=いまいましい】けれ ども◯此心はむらさきを雲(くも)ゐのかりにたとへ。かことを 雲(くも)ゐのかりにゆつらん。そなたよりすゝみての給はん をまちつるに。さもなかりしかは。うれへは心に ありながら。いまは雲ゐのかりをまけてそなたへ まいらするからは。それにゆづりてうらみをものこ さじとの心也。まつとは松を縁によせて。縁 すきたる心によめるなり 【左丁上段】 【見出し】「献立書様(こんだてかきやう)の事【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 【上方】  何月何日(なんくはついくか)昼(ひる)献立(こんたて)   本膳 鱠(なます)【文字の下に縦の波線四本】羹(あつもの)【同上】 煮物(にもの)【同三本】飯(めし)   二 笋羹(しゆんかん)【同五本】二汁【同二本】   引て 香物(かうのもの)【同二本】 炙(やき)物【同右】 𩐓(あへ)物【同右】   初献 引炙物   二 吸物【同右】 肴【同右】 【左丁上段下方】 一何月何日の昼夜斎(ひるよるとき)  非時(ひじ)それ〳〵にしたが  ひて書べし 一 食(めし)の字(じ)かくはわろし  飯(めし)と書てよし 一本膳の汁と書はわ  ろし羹(あつもの)と書べし  あつ物はしるの事也 一 鱠(なます)と書ときは魚類(ぎよるい)  のなますなり。精進(しやうじん)  なれば膾(なます)と書分て吉 一本膳に鱠ばかりつく  ときは飯(めし)と羹(あつもの)の中  通の上に書付べし 一 香物(かうのもの)付て出す時は  飯と鱠の間右へよせ  て書付べし 一 焼(やき)物と書はわろし 【左丁下段】  若菜(わかな)《割書:上》 こまつ   ばら  すゑ    の よはひ   に ひかれ   てや 野べの  わかなも としを  つむへき