翻刻
【右丁上段】
【左右に飾り鉤かっこ】十月 ̄ニ用 ̄ル汁
▲がん ▲あんかう ▲きじ
かぶな すいくち ̄ニ 山かげ
さんせう ̄ノ こ 生しいたけ
【左右に飾り鉤かっこ】十一月 ̄ニ用 ̄ル汁
▲小はまぐり ▲あさり ▲めきじ とうふ
ちさか 白うを くさぎ さいの
のりか のり あづき め
◯八はい汁
▲きじ酒一はい ̄ニ水八はい入なへ ̄ニ しほいり付ねは一しゆ
▲たいのしほからなべ ̄ニ いり付ときの物一しゆ
【左右に飾り鉤かっこ】十二月 ̄ニ用 ̄ル汁
▲しほます ▲はらら子 ▲大あぢ ▲まながつを
大こんかたは くき はすぎり ごばう
ぎり 玉子の白み とうふか せり
いかにも さいのめ ̄ニ切 あをきもの
うすく
【右丁下段】
【見出し】「わかな《割書:下》【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】
此巻は詞をもつて名づけたる也
此巻上下にわかつといへともひとつ
事也。上は源氏の御 賀(が)也。下は朱雀院(しゆしやくゐん)の御 賀(が)也。
賀(が)は四十(御とし)のいはひ也。巻の上下共にわかなを本と
する心あり。源氏四十一歳の三月より四十七才
まてをしるす。上の巻に源氏の御かたにて春
のくれ御 鞠(まり)あり。かしはぎのゑもんのかみもまいり
給ふに。女三(けんしの)のみ(北の方)やのかはせ給ふねこしらぬ猫(ねこ)を
をひてみすのうちへいり。ねこのつなにてみす
あがりて御すがた見え給ふにより。恋となりて
此のみやのめのとに侍従(じしう)といふ女房(にうはう)をたのみて
文をまいらせ。ついにあひたてまつりける。そのゝち
かしはぎのやりたる文を。げんじのみつけ給ふ事
あり。哥に〽夕やみは道たど〳〵し月まちて。
かへれわがせこそのまにもみん。◯これは女三の
みやの源氏をとゝめ給ふことばにひける哥也。
此心は夕ぐれは道もさだかならず。月のいづるを
まちてかへり給へかし。さもあらば。月のいづる
まてすこしの間もみたてまつりたきとの心也。
せことはおつとをいふなり
【左丁上段】
【見出し】雑汁(ぞうしる)の部 しぶんをかまはず用ゆ【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこを付けて両側に縦線】
▲なつとうもとき。とうふをすりてみそ
汁にてゆるめみそ汁をこくすり。だし計
にてたてゝ右のとうふをなまみそより入て
くきにても何にてもこまかにたゝきくだき
入て小とり入てよし又すいくちを入へし
▲どぢやうをくだのことくに切てくずのこ玉子
を入どぢやうをくるみのあぶらにてあぐるなり
たゞしどぢやうをやきてあげたるがよし
入子【いれこ 注①】にはめうがごばう木の子せり
▲玉汁は小とりかまぼこ。ふき小ぐち切。たけのこ
うど。ごばう。ほそ大こんいかにもこまにきり
あつきを入なり
▲さしさば ▲くじら ▲ゑび ▲塩ぼら
大なすび うど ふき ずいき ほうれん
わ切にして めうが さんせう さう
▲ほしな ▲もうを ▲あかいはし ▲はまぐりの
のり すいくち とうふのかす むきみ
入て ねぶか 大こんをろし
▲山のいも ▲あつめ汁【注②】▲ひや汁 ▲あかゞい
ふき ごばう くり 小いも
めうが なすび せうが あおき
わかめ ふき めうが は
とうふ しいたけ
くろまめ のり
木の子 あかさ
【注① 魚が卵を持っていること。またその卵。】
【注② 魚・鳥・青物をいろいろ取り合わせ、小さく切って煮たてた、味噌または醤油仕立ての汁。】
右以上汁のぶん
【見出し】なます之部《割書:十二ヶ月》【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこを付け▢で囲む】
【左丁下段】
柏木(かしはぎ)
いまは
とて
もえん
けひりも
むす
ぼゝれ
たえぬ
おもひ
の
なをや
のこらむ