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【右丁上段】
【見出し】りやうりなます【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
▲た ▲さより ▲あかゞい
あはび はり大こん さけ
同ひづ 同やきかは たい
いせゑび 玉子 いか
こたゝみ【注①】ずいき わさび
うど せり くらげ はせうが みかん
右は鱠(なます)之分なり
【注① こだたみ(海鼠湛味)=料理の一つ。ナマコを薄切りにして酒につけてから塩とみりんで調味しただし汁につけて、わさびあえにしたもの。】
◯にものゝ部 十二ヶ月
【見出し】正月 ̄ニ用 ̄ル にもの【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
▲白うを ▲小かも ▲かも
小とり あはびかく切 こはまくり
ねふか あづき から共に
わりさんせう ふきのとう たいらぎ【注②】
【縦線引き】
▲まて【まて貝】 ▲つぶし玉子 ▲もゝげ【注③】
くはい【くわい】 たつくり みるくひ【注④】
つく〴〵し【注⑤】 つく〳〵し つく〳〵し
▲ふくろいり。あをりいかのかうをぬき中へうを玉子
をすりまぜ入もゝげやきぐり入て口をゆひゆに【湯煮】し
てわぎりにして取あはせ木の子なといるゝなり
▲しやうじんのにものに山のいもをよく〳〵すり。はり
ごばうを入かきまぜて一夜をきあくるあささじに
て一すくひつゝあぶらにてあげ何にても一しゆ入へし
▲とうふにしろごまをすりまぜゆに【湯煮】をしてくずた
まりをかけくるみせうがを入へし
【注② 大形の二枚貝。肉は割合に小さいが、貝柱は白色で大きく、すし種など上等の食品になる。】
【注③ コマ56の注⑧参照】
【注④ 海松食=大形の二枚貝。肉は食用とし、特に水管は吸い物やすし種として賞味される。】
【注⑤ つくし(土筆)の異名】
【見出し】二月 ̄ニ用 ̄ル にもの【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
▲白うを ▲みるくひ しやうじん
まて 生わらび ▲うこぎ【注⑥】
みつば さけのかは かちぐり
又白うを 又とこぶし かは共に けしふりて
つく〳〵し 生わらび 又かんへう【干瓢】
しほ竹の子 しいたけ 山の芋
【注⑥ ウコギ科の落葉低木。若葉を食用とす。】
【見出し】三月 ̄ニ用 ̄ル にもの【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
【左丁上段】
▲小とり ▲いか ▲やきはへ【焼鮠 注⑦】
ごばう わかめ ねぶか
さけのかは めざし さんせう
【縦線引き】
▲さけのかは しやうじん 同
めざし ▲ふき ▲くるみ
ふくため【注⑧】とうふ とうにん【桃仁】
生わらび ほし大こん とうふさいのめ
くろまめ ごばう同せうが《割書:は|り》
【注⑦ 「はえ」又は「はや」。川魚の「おいかわ」又、「ウグイ」をいう。】
【注⑧ ふくだみ(福多味)=常節(とこぶし)の肉とわたをきざみ薄い塩味に仕立てたもの。ふくだみとも。】
【見出し】四月 ̄ニ用 ̄ル にもの【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
▲やきあゆ ▲くし子【注⑨】しやうじん
竹の子 あんかけて ▲いかうのはな
又たつくり 又いか うこぎ
しゞみ わらび ごまふりて
くこ ふ 又ゑんす【燕巣】
くろまめ やきどうふ 生のり めうが竹【注⑩】
【注⑨ 串海鼠=腸を取除いたナマコをゆでて串にさし、干したもの。】
【注⑩ 茗荷竹=茗荷の宿根から生じる若い茎。】
【見出し】五月 ̄ニ用 ̄ル にもの【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
▲ひばり ▲にし【注⑪】のくろに【黒煮】しやうじん
竹の子 ごまふりて ▲やきとうふ
又 又はと しいたけ
ひばり さ?はつ 竹の子
さゝげ 又丸なすび 又むめぼしこんぶ
けづりごはう 花かつを くず ほそさゝげ
【注⑪ 巻貝の総称。赤いのがアカニシ、田にいるのがタニシというように用いられる。一般にはアカニシをさすことが多い。】
【見出し】六月七月 ̄ニ用 ̄ル にもの【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
▲くもたこ【注⑫】 ▲ぼらうすみ しやうじん
さけのかは つぶし玉子 ▲小なすび丸
くろまめ つけわらび しいたけ
こんぶ 又やきふな 山のいも
かんへう さんせう わらび 又かんへう あげぶ
ごばう小口切 くし しいたけ
【注⑫ マダコ科のタコ「てながだこ(手長蛸)の異名。腕(足)がきわめて長く、体長の八割を占める。】
【見出し】八月 ̄ニ用 ̄ル にもの【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】
▲はらゝ子【注⑬】すり ▲かも しやうじん
かいやき ねぎ ▲まつたけ
玉子 大こん いわたけ【注⑭】
あはび つぶ山升【椒】ごばう
さけの ▲又小とり ▲又いも
うすみ まいたけ しいたけ
やきどうふ
【注⑬ コマ54注③参照】
【注⑭ 岩茸=各地の深山の岩石上に着生する。食用となり、乾燥して貯蔵する。】
【右丁下段】
【見出し】よこふえ【源氏香の図】【見出し語の上部左右に飾り鉤かっこを付け▢で囲む】
此巻は歌もつて名とする也。
源氏四十九歳の二月まての
事あり。かしは木のゑもんのかみの北のかた。をち
ばの宮をば一条の宮と申也。ゑもん死(し)し給ひて
のち。夕きりの大将おり〳〵御たつねありしに。
八月なかば月ことにおもしろくあはれなり
しに。大将此宮へ参り給ひたれは。うちより
笛(ふゑ)を取出して大将にすゝめ給ふ。此笛より。いに
しへゑもんかみのそのきはまてもち給ひし
とてつたへまいらせ給ふ。大将の御うたに
〽よこ笛(ふえ)のしらへはことにかはらぬを。むなしく
なりしねこそつきせね◯此心は此笛もと
かしはぎのもち給ひしものなれど。ふきならす
声(こゑ)はかはらぬに。持(もち)給ひし人はむなしくなり
ぬれとなくねはつきかたしと。笛(ふへ)のねになく音(ね)
をそへてよみ給ふ也。かくて笛(ふへ)をつたへ給ひて後(のち)
ゆめにゑもんのかみありしさまにてよみ給ひ
ける歌〽笛竹(ふへたけ)にふきよる風のごとならはすえ
のよながきねにつたへなん◯此心はしらべ風
のことくつたはるならは。わか思ふかたへ伝(つたへ)たきと也
【左丁下段】
鈴虫(すゝむし)
こゝろ
もて
草(くさ)の
やどり
を
いとへ
ども
なを
すゞ
むし
こゑ の
ぞ
ふりせぬ