東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

コレクション: コレクション 1

女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 61

ページ: 61

翻刻

【右丁上段】 ▲よめがはぎ なめすゝき【注①】 ▲生わらびのり ▲むめぼし のり          いわたけ ▲とうふに玉子のきなる所を引あぶりてのりを入 ▲あはびをせんにきり  ▲白うを  のり入         なにゝても一しゆ ▲こゑび          またゝびのくき  こゝりこんにやく【注②】 ▲もゝげ        ▲いかをさいのめにきり     みつばぜり     のり入 ▲山のいも    あまのり    くり      せうが ▲しゞみ        ▲にし     くろまめ       めうがの子 【見出し】◯さかな之部 《割書:魚鳥|しやうじん》【見出し語の上下左右の角に飾り鉤かっこ】 ▲ふくるみをすりたししやうゆにて  ゆるめふにつけあぶり用ゆ ▲こんにやくをざつとあぶり大きくきりて  こせうのこをふるべし ▲いかでんがく ▲なすびこぐちぎりあふらにひたし  あぶりさんせうみそ ▲ちんび からかへ?  あをのり  なるほどほそくはりのごとくにきり  にしめをきあはせ ▲たこ なるほどほそくきりゆのわかは  はりしやうがす ▲ばい うすくきりてゆのかはせんにきり  さけ す しやうゆ ▲かきかいのみをあぶりこせうのこをふりて  しやうゆにゆすを入 ▲かはつきかまほこはむ【鱧】のかはをいたにして  みをよきほとにつけむしてつねのかまほこのことく  いた共にきりていだす 右料理こん立数種大がいかくのことし 【注① えのきだけの異名。】 【注② 凝り蒟蒻=こんにやくを煮て寒中に凍らせたもの。精進料理などに用いる。】 【右丁下段】 【見出し】まぼろし【源氏香の図】【見出し語上部左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 此巻は歌をもつて名つけたる也。 源氏五十二歳の正月より十二 月なでを次第〳〵にしるしたり。源氏の紫(むらさき)の うへを忘(わすれ)かたき心。月日にそへてたゝまなき心を あらはせり。げんじの歌に〽おほそらに【「を」とあるところ】。かよふまぼ ろしゆめにだに。見えこぬ玉のゆくゑたづねよ。 此心はげんじ空(そら)とぶ雁(かり)がねを見給ひて。かの唐(もろこし)の げんそうくはうていの使(つかひ)にて。方士(はうし)がげんじゆつと いふて。ひぎやうじさいをあらはして。こくうをも かけり。ついにとこよの国ほうらいきうにいたりて。 やうきひのこんはくにあひたてまつりしこと あれば。今とふかりもとこよにかへれば。はうしに なぞらへて。大空(おほぞら)にかよふまぼろしのじゆつあらば。 せめてなき玉のゆくゑをたつねて。ゆめにだに あひたきよしをつげよとなり。是はげんそうと やうきひのことをしるしたる長恨歌(ちやうこんか)といふ文(ふみ)に 魂魄曽来夢不入(こんはくかつてきたつてゆめいたにいらす)【注③】といふ事あり。その心をよみ 給ふ也。此巻すべてむらさきのうへを恋給ふことを 書あらはしたり。げんじもこの思ひにてついに かくれ給ふを。くもがくれといへり 【注③ 語順が違っている。正しくは「魂魄不曽来入夢(こんぱくかって来たりて夢に入らず)」】 【左丁上段】 【見出し】有馬湯(ありまゆ)の山 ̄の由来(ゆらい)【見出し語の上部左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 ▲攝州(せつしう)ありま山 温泉(うんせん)の旧窟(きうくつ)はそのかみ 人王(にんわう)三十五代 舒明天皇(ぢよめいてんわう)。三年秋九月に此 所に御幸(みゆき)なり給ふ。しかるに此 湯(ゆ)の涌(わき)おる所 岩をたゝみ草をむすびたる仙窟(せんくつ)なり。されば 其時 三(み)かの月(つき)湯(ゆ)つぼにさし入たるをゑいらん まし〳〵て。是ぞ誠に人民(にんみん)の病苦(びやうく)を治(ぢ)する 温泉(うんせん)なるべしと思召かたじけなくも御製(ぎよせい) ◯三日月(みかつき)のしほ湯(ゆ)にうつる影(かげ)見れば   かた輪(わ)もなをる七日(なぬか)〳〵に みか月は半月(はんげつ)にしてかたわのかたちなり しかれ共七日〳〵十四日此湯にかげをさし 入て満月円成(まんげつえんじやう)の姿(すがた)になをるとの御心になん ▲同十年の冬(ふゆ)御幸(みゆき)まします◯又卅七代の聖主(せいしゆ) 孝徳(かうとく)天皇三年十月朔日に御幸(みゆき)まし〳〵て 武庫(むこ)のあんきうに還御(くはんぎよ)し給ふ。はじめは武庫(むご)と いふ。今の兵庫(ひやうご)なり ▲人王四十五代 聖武(しやうむ)天皇の御宇(きよう)神亀(じんき)元年甲 子の年 行基菩薩(ぎやうぎほさつ)こやの里(さと)崑崙山(こんろんさん)金養寺(こんやうじ)に 【左丁下段】  匂宮(にほふみや) おぼつ   かな たれに とはまし いかに  して はじ  めも  はて    も しらぬ  わが身ぞ