翻刻
【右丁上段 各仏像画の上➝下にの順で刻字。下部はすべて右からの読み】
千手(せんじゆ)【右からの横書き】
御ゑん
日十
七日
坎中連(かんちうれん)
子(ね)の年(とし)
虚空(こくう)
蔵(ざう)
御ゑん
日十
三日
艮上連(ごんじやうれん)
丑寅年(うしとらのとし)
文殊(もんじゆ)【右からの横書き】
御ゑん
日廿
五日
震下連(しんげれん)
卯(う)の年(とし)
普賢(ふげん)【右からの横書き】
御ゑん
日廿
四日
巽下断(そんげだん)
辰巳年(たつみのとし)
人々一代の守り本尊はつね〳〵信じてよし
氏神は事に其身一代の内おろそかに思ふべからず
【右丁下段】
【見出し】うきふね【源氏香の図】【見出し語の上部左右の角に飾り鉤かっこを付け▢で囲む】
此巻は哥をもつて名つけたる也。
かほる廿六歳の正月より三月
までをしるす。匂(にほ)ふみやは。うき舟にほのかにあひ
給ひし夕を忘(わすれ)れ【語尾の重複】給はず。かほるは宇治(うぢ)の人(うき舟)まち
どをなるらんもくるしく。京にすませばやと思召
三条ちかき所に家作(やづく)らせ給へり。匂宮(にほふみや)の心に思ひ
給ふは。かほるは宇治へかよひてよるもとまり給へば。
かの(うき舟)人をかくし置(をき)たるなるべしとて。よくたづね
きゝて。かほるにゝせて夜に入てきたりとまり給ふ。
そのゝちも又おはして。このたびはしづかなる所にて
契(ちぎ)らんとて舟にて出給ひ。しれる所の家(いへ)にてかた
らひ給ふ。哥に〽たちばなの小(こ)島は色もかはらじを
このうき舟ぞよるべしられぬ◯此哥の心は匂宮(にほふみや)
かくちぎり給ふ。此たちばなの小島はいつまてもかは
らじけれども。わか身はひく手あまたなれば。ゆく
すえしれがたしとおもひわつらひたる心也。たち
ばなの小島はうぢより一町ばかり河の中の島也。
かくてかほるよりは。三条の家(や)づくりてわたし給はん
などありければ。うき舟の君かれ是と思ひわづ
らひ。ついにものゝけとなりたるなり
【左丁上段】
【見出し】女中の名(な)の字(じ)相性(あいしやう)の事【見出し語の上部左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】
【小見出しを◯の下に記し、上部左右に鉤かっこを付け▢で囲んでいる。】
◯木性(きしやう)の人は【これより上を囲む】麻(おあさ) 房(ふさ) 邦(くに) 満(みつ) 百(ひやく) 梅(むめ)
武(たけ) 包(かね) 芳(よし) 米(よね) 伴(はん) 品(しな) 茂(しげ) 万(まん) 沢(さわ) 林(りん)
良(やゝ)【左ルビ:よし】 蘭(らん) 貞(さだ) 栗(くり) 留(とめ) 道(みち) 頼(より) 蓮(れん) 類(るい) 勘(かん)
◯火性(ひしやう)の人は【これより上を囲む】花(おはな) 吉(よし) 菊(きく) 久(ひさ) 庫(くら) 岩(いわ)
虎(とら) 薫(くん) 国(くに) 曲(くま) 幾(いく) 為(ため) 艶(つや) 塩(しほ) 吟(きん) 越(えつ)
猶(なを) 益(ます) 園(その) 亀(かめ) 梶(かぢ) 玉(たま) 高(たか) 源(げん) 極(きは) 今(いま)
◯土性(つちしやう)の人は【これより上を囲む】重(おしけ) 中(なか) 竹(たけ) 島(しま) 蝶(てふ) 当(まさ)
等(しな) 伝(でん) 長(ちやう) 徳(とく) 六(ろく) 藤(ふぢ) 瀧(たき) 楠(くす) 陸(りく) 楽(らく)
◯金性(かねしやう)の人は【これより上を囲む】由(およし) 幸(ゆき) 恒(つね) 好(よし) 熊(くま) 安(やす)
虎(とら) 市(いち) 峯(みね) 縫(ぬい) 豊(とよ) 民(たみ) 坂(さか) 冨(とみ) 茅(かや) 門(もん)
糸(いと) 末(すへ) 浜(はま) 愛(あい) 閑(かん) 里(さと) ◯水性(みつしやう)の人は【これより上を囲む】
琴(おこと) 崎(さき) 晴(はる) 秋(あき) 種(たね) 霜(しも) 松(まつ) 千(せん) 常(つね) 石(いし)
岩(いわ) 政(まさ) 光(みつ) 市(いち) 善(よし) 七(しち) 三(さん) 哥(うた) 勝(かつ) 次(つぎ)
【左丁下段】
蜻蛉(かけろふ)
ありと
見て
手(て)
には
とら
れず
みれば
又(また)
行(ゆく)
ゑも
しらず
きえし
かげろふ