東京学芸大学「学びと遊びの歴史」を翻刻!

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女源氏教訓鑑 - 翻刻

女源氏教訓鑑 - ページ 72

ページ: 72

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【右丁上段】 【見出し】暦の中段をしる事【見出し語の上部左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 建(たつ) 《割書:とはざうさくわたまし宮寺こんりう |諸事をこしらへ始る心に用ひてよし》 除(のそく) 《割書:万事をよくる心にてようしやする日なり|もの事ひかゑうちばにするなり》 満(みつ) 《割書:物のぢうまんする日也万きはめさだめる也|満足の心也諸ぐはんほどき談合極るに用る》 平(たいら) 《割書:よしあしともにたいらかにしづかなる日也|此心を用てつよからずよはからず中分に用》 定(さたん) 《割書:物を定る事此日を用ひ定てよし。けつでう|する日也師弟のけいやく又はふさいのいひ合よし》 取(とる) 《割書:人の方よりうけとるによしほどこす|事には何にてもむようの日なり》 破(やふる) 《割書:諸事の用(よう)などにつく事にあしき日也|下地共に打やぶる心也しよたい持つにもあしゝ》 危(あやふ) 《割書:万端(ばんたん)用心(ようじん)して物をとりおこなふなり|かやうにしてはいかゞあらんとねんを入べし》 成(なる) 《割書:此日何事もじやうじゆする日なり。右に|あるみつといふ日に同しこゝろなり》 納(おさん) 《割書:あき五こくを納る日也或はくらを立宝を入|始。又は宮寺何にてもきしんする心にて用べし》 開(ひらく) 《割書:くらびらき入学やどかへ国がへかうしやくものを|初ておこなふ日炉こたつなどひらく何れも吉》 閉(とつ) 《割書:右のとるといふ日ににたるぎり也いんぶんの事に用|たとへば家立て後かべなど拵る日也炉こたつ此日とつる也》 右此こゝろを以て万端につかふ事也男はのぞくの 日あしく女はやぶるの日ゑんりよしてよし 【右丁下段】 【見出し】かぎろふ【源氏香の図】【見出し語の上部左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 此巻は詞と歌とをもつて名と せり。かほる廿六歳の事也。うき 舟はかれこれの物思ひより心もそゞろにてついに あとなくうせ給ふ。宇治にはうき舟ゆくゑなく うせ給へば。こゝかしこもとめたづぬれども見え ざれば《割書:匂》宮ひたすらに此なげきにふししづみ 給ひて。侍従(じしう)といゝしうき舟のつかひ給ひし女房 をよび給ひて。御かたみと思ひつかひ給ひしなり。 宮(匂)はむかしのことを思ひ出し給ひたる夕ぐれに。 かげろふのとびちがふを見給ひて。よみ給ふ歌に 〽ありと見て。手にはとられずみれば又。ゆくゑも しらずきえしかげろふ◯此心はうき舟などの はかなくうせ給ふことを思しつゞけてかげろふ といふてあしまに生じて夕にしする虫(むし)のことを みるにつけて。ひつきやうにんげんせかいの無常(むしやう) の有さまを観(くはん)じ給へば。無はこのかげろふの やうなるものぞといふ心なり。かげろふ蜻蛉(せいれい) と書り。又は陽炎(やうゑん)蜉蝣(ふゆう)ともいへり。こゝの心を みれば。蜉蝣(ふゆう)のことなるべし。此虫はあしたに生(しやう) じて夕(ゆふべ)にしすといへば。はかなきたとへなり 【左丁上段】 【見出し】こよみの下段之事【見出し語の上部左右の角に飾り鉤かっこを付け全体を▢で囲む】 ▲天赦日(てんしやにち) さいじやうの大吉日也何事に  用ひても万吉日也年中に六七日めぐる也 ▲大明(だいみやう)日 よろづに用てよし大吉にち  ことに祝言わたまし出行物たち【裁断、裁縫】万によし ▲天一天上 此日天一神八方を四十四日めぐり  おはり天へ上り給ふ日を天一天上といふ也此日  より十六日の間は八方へ行に天一神のさはりなし ▲御くし と有はふるき御はらひごわら?など  やしろへをさめてよき日なり ▲はがため と有はくひぞめする日なり ▲きそはじめ きる物きそむる日なり ▲大 禍(くわ)狼耤(らうしやく)滅門(めつもん) 是三ヶの大あく日にて一切の  仏事くやう諸事ふかくいむ日なり ▲滅日(めつにち)没日(もつにち) 是も二ヶの大あく日也但しめつ  日とは月のめぐみふそくなる日なり ▲復(ふく)日 重(ちう)日 たねまき祝言くすりをのみはじめ  きう針にいむ但しものたち又はあたらしきい  しやうをきそむるによし ▲五墓(ごむ)日 此日よろづにわろしあく日  なり但し家づくりにはよし 【左丁下段】  手習(てならひ) 身を  なげし  なみだ    の 川(かは)の  はや    き せを  しがら     み かけて  たれか とゞめし