← 前のページ
ページ 1014 / 1317
次のページ →
翻刻
まれて年をおくりけり男あんじめぐらして亀を
一つもとめて首(くび)を引出て三四寸ほどに切てげり
紙につゝみてふところに入かくして持(もち)妻と又事を
あやまちていさかひてたがひにさま〴〵にいひて男いふ
やうはせんずるところかやうの口舌(くぜつ)のたへぬもこれゆへ
にこそとてかたなをぬいてをのれがまらを切よし
をしてふところに持たる亀のくびをなげ出したりけり
血(ち)みどろ成物の三四寸ばかりなれば其物にたがはざり
けり妻あさましげに成ておほかたの道理をこそ
申つれ是程ににが〳〵しく思ひとり給ふべき事かと
【上欄書入れ】32
【柱】古今巻十六 〇三十