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けるほどに御室(をむろ)の御ひざをまくらにして御やみ有けるが
御気色/火急(くわきう)に見へさせ給ひければ御室(おむろ)信心をいだし
て孔雀経をよませ給ふ其御なみだ経よりつたはり
て院の御/顔(かを)につめたくかゝりけるに御信心のほど覚(おほし)
めししられける程に速時(そくじ)に御色なをらせ給ひて其日
はおこらせ給はざりけり勧賞(けんしやう)には仏母院(ふつもゐん)と云/堂(だう)を
たてゝ阿闍梨(あじやり)をおかれけり又同御時/参内(さんだい)せさせ給ひ
たりけるに勅(ちよく)定に世間にはもつての外に有験(うげん)の
人と申なるに我見るまへにて其しるしあらはさるべし
と仰られければ勅定そむきがたくしばらく念/誦(じゆ)
【柱】古今巻二 〇十九