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翻刻
松へうつりけりかくする事たび〳〵になりければこの
ものの射(い)とめん事はかなはじと思て弓をうちおきて
太刀をぬきて待所に又松にうつりてやがて仲俊がゐたる
そばへ来りけりはじめは只ひかり物とこそ見るに近付(ちかづき)
たるを見れば光の中にとしよりたる姥(うば)のゑみ〳〵と
したるかたちをあらはして見へけりぬきたる太刀にて
きらんと思ふにむげにまぢかきをよく見れば物がら
あんへいに覚へければ太刀をうちすてゝむずととらへ
てげりとられて池へ引入らんとしけれど松のねを
つよくふみはりて引入られずしばしからかひて腰刀(こしかたな)
【上欄書入れ】15
【柱】古今巻十七 〇十四