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翻刻
こゑにて維蓮坊と呼(よぶ)人有たそと計こたへていては
あはずさる程にうしろ戸(と)のかたより此人入くるを見れば
いとおそろしげ成山ぶし也天狗にこそと思ふよりおそ
ろしき事限なしたゞ十羅刹(じうらせつ)を念じ奉て又目もあは
せず書写(しよしや)するに此山ぶしあゝたうとげにおはする物哉
といひて其日はかへりぬ其後又見もしらぬ中間(ちうげん)法師
一人来て云やう只今僧正御房/御入室(ごにうしつ)候/見参(げんざん)せんと
有といへば其時は天狗ども思ひもよらでいそぎいでゝ
見るに実(げに)も僧正のあまたの僧をぐしておはしたり爰(こゝ)
へとよばれければ其めいにしたがひてよりゆくに爰許(こゝもと)
【上欄書入れ】16
【柱】古今巻十七 〇十五