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翻刻
硯に小刀有けるを取てもたりける程に小刀を天狗の
かいなにいさゝかつき立てげり其時天狗このぎならん
にとりてはといひてあらく引出していぬそらをかけるか
とおほしくて行(ゆく)心もこゝろならず只夢のごとしよもの
木(こ)ずへなどのしたにみくだされけるにぞ空(そら)を行(ゆく)とは
しられける扨ある山の中にをきついさゝか竹の門有
いゑのふるびたるにをきてあかり障子(しやうじ)の有けるを引
あけてこれへと請(しやう)じ入ければ是程の儀になつては
いなんともかなはじと思ひていふにしたがひて入ぬ内
のかたをきけばこのまうけいとなむとおぼしくて人あま
【上欄書入れ】17
【柱】古今巻十七 〇十六