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翻刻
【柱】古今巻二 〇二十二
僧正修行に出られて大みねにおこなはるゝ間女御
日来(ひころ)やまひにわづらひ給ひて存命たのみなくなり
給ひけるとき僧信禅(そうしんぜん)をつかひとして今一度みたて
まつらんがためにいそぎ帰洛(きらく)し給ふべきよし申されけり
草庵(さうあん)の内にたゞ壱人経をよみてかげのごとくにおと
ろへて其人とも見へずなみだにおぼれてしばし物も
いはれずあいかまへてかの仰のむね申ければ僧正われ
此行をくはだてゝ世の中を思ひすてゝ三宝の加護(かご)を
頼み奉ればもろ〳〵の怖畏(をそれ)なし女御の御悩(ごのふ)もおのつから
のそき給はんとて柑子(かうじ)一つゝみを加持してまいらせられ