← 前のページ
ページ 1237 / 1317
次のページ →
翻刻
なしさて夜もあけがたになりければ女おきわかれん
とて男の扇子をこひていふやうわが申つる事いつは
りにあらず御身にかはりぬる也そのしるしを見んと
おぼさば武徳殿(ぶとくでん)のほとりを見給ふべしといひてわ
かれぬ男あしたに武徳殿に行てみれば一の狐(きつね)扇を
おもてにおほひて死(しゝ)てふしたり男あはれにかなしき
事かぎりなし七日ことに法花経一/部(ぶ)を書くやう
してとふらひけり七々日にあたる夜の夢に此おんな
天女に囲遶(いによう)せられてかたりていはくわれ一/乗(じやう)のち
からによりて今/忉利(とうり)天にむまるゝなりとつげて
【上欄書入れ】9
【柱】古今巻二十 〇七