← 前のページ
ページ 14 / 1317
次のページ →
翻刻
古今巻一 〇五
内侍前(ないしところ)はむかしは清涼殿(せいりやうてん)にさだめをかれまいらせ
られけるをおのづからぶれいのこともあらば
そのおそれ有べしとて温明殿(をんめいでん)にうつされにけり
此事いづれの御/時(とき)のことにかおぼつかなしかの殿清(でんせい)
涼殿(りやうてん)よりさがりたる便(びん)なしとて内侍所(ないしところ)にさだ
められたる方(かた)をば板敷(いたしき)をたかくしきあげられ
たりけるとぞ天徳(てんとくニ)内裏(だいり)焼亡(じょうまう)に神鏡(しんきやう)みづから
とびいで給ひてなんでんの桜(さくら)の木(き)にかゝらせ給ひ
たりけるををのゝみや殿(どの)ひざまづきて御/目(め)をふさぎ
てけいひつ【警蹕】をたかくとなへて御うへのきぬの袖(そで)をひ