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南都/高天寺(たかまでら)にすむ僧ありけり長谷へ参て通夜して
さふらひけるにつねよりも人おほく参て侍けるに此僧あか
つきに下向(げかう)せんとしけるにたれともしらぬ俗(ぞく)来りて珠(たま)を
持て僧にさづけていひけるはこの珠/准后(じゆこう)へまいらせて
給はるべしとてすなはちさりにけり珠の色むらさきにて
其勢たちばなの程なりけりかのおしへのことく准后へもて
参て奉にけりそのまへの夜准后の御夢に長谷の観音
より宝珠を給はせ給ふと御/覧(らん)せられけるを御心の中
ばかりにおほしめして仰出さるゝ事なかりけるに其後
朝(あした)に此珠をもちて参たりけるふしぎなる事也件の
【柱】古今巻二 〇四十