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翻刻
【柱】古今巻二 〇四十二
にあひて已(すて)に船くだけんとしければことうといふ小船に
乗(のり)うつりにけりふねせばくして百よ人ぞ乗(のり)たりける残り
のともがらはもとの舟に残りて有ける心の内をしはかる
べしこたうに乗て十よ日有けるに水つきてすでに死
なんとしける時/行衍坊窽浄(きやうえんばうけつじやう)といふ上人の乗たりけるが
云やう各々(をの〳〵)同心に観音経を卅三巻よみ奉るべしわれも
祈請しこゝろみるべしとて左の手の小/指(ゆび)に燈心(とうしん)をまと
ひてあぶらをぬりて火をともして灯明としておなじく
経をよみけり卅三巻のおはり程に成て南のかたより
淡(あは)のごとく成もの海のおもてに一段ばかりしらみわたり