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翻刻
【柱】古今巻一 十四
二つ有けりしばしありて入ぬ其後/猶(なを)からんとしければ
烏数万(からすすまん)とび来りて神田(しんてん)の稲(いね)の穂(ほ)をくひぬきてみな
神殿(しんでん)の上に葺(ふき)けりふしぎの事也本/国(ごく)の神かゝる事中〳〵
おはする物也さかとのさゑもんの大夫/源(みなもと)の康季(やすすへ)は年(とし)
比(ころ)加茂(かも)につかうまつりけりある夜/御戸(みと)開(ひらき)に参りける
程に鴨川(かもかは)の水出て通(とをり)がたかりけれは岸(きし)のうへに思ひ
やり奉て居(ゐ)たりけりかゝる程に御戸(みと)開(ひらき)まいらせんと
するにいかにもひらかれさせ給はざりければ社司(しやし)共せん
つきてねぶり居(ゐ)たりける程にある社司(しやし)の夢(ゆめ)に康季(やすすへ)
が参をまたせ給ひて開(ひら)かぬよしを見てげり是(これ)によりて