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翻刻
に入候はんとて参りて候とてその文書を捧(さゝけ)たりけれは
大将みづからとりて見給ひけり文書のことく一定(いちでう)相
伝のぬしにて有かととはれけれはいかてか偽(いつはり)をば
申上候べき御尋候はんに更にかくれ有ましと申けれは
義連(よしつら)に硯(すゝり)たづねて参れと仰られて尋出して参
持給ひける扇に一首の歌を書給ひけり
いつみなるしのたの森のあまさきは
もとの古葉にたちかへるへし
かく書て義連にこれに判くはへて尼にとらせよと
【柱】古今巻五 〇五十六