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翻刻
【柱】古今巻一 十七
の国しり給ひける比(ころ)也ければかれより人夫(にんぶ)おほくめし
よせて侍けるが多くあまりたりければ少々/返(かへ)し下され
ける中にある人夫一人しきりになげき申けるはたかき君
の御徳によりてさいはいに熊野の御山/拝(おかみ)奉らん事を悦(よろこひ)
つるにあまされまいらせて帰(かへし)くだらん事かなしき事なり只(たゞ)
まげて召供(めしぐ)せさせ給へと奉行(ぶぎやう)の人にいひければさりとては
余(あま)りたればさのみ何のやうにせんといひければなく〳〵愁(うれへ)て
唯(たゞ)御/功徳(くとく)に食(しよく)ばかりを申あたえ給へいかにも宮づかへは
仕(し)候べしとねん比に申ければあはれみてぐせられけり実(げに)も
かひ〴〵しく宿(やど)〳〵にては人もをきてねども諸人がこりの