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ながらもうらみは猶尽(なをつき)せず永万(ゑいまん)元年八月十七日大納言
を辞(じ)して正二位(せうにゐ)をゆるさるかんだちべくわんをやめて
加階(かかい)の例(れい)めづらしけれ共/実仲卿(さねなかきやう)こえかへさんの思ひふかくて
思たゝれけるとぞとかくしてしづまれ侍けるを世の人おしみ
あえりけり思ひわびてさまをやつしてひそかに春日社(かすかのやしろ)に
詣(まふて)て身の行すゑ思ひ定(さだむ)べきよし祈請(きしやう)せられけるほどに
若(わか)みや俄(にわか)にかんなぎに御/託宣(たくせん)有てさきの大納言を召出(めしいだ)し
給ひけるをしばしはまことしからずと思ひて猶立(なをたち)かくれら
れたりけれ共ふしぎ成しるしとも侍ればたへかねて出られ
にけり将相(しやう〳〵)の栄花(ゑいくわ)を極(きはめ)て君につかへん事程有べからず
【柱】古今巻一 十九オ