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不可思議の事に侍りとてかたられけるは先年近江
国より僧来て申事侍きあさましふるく成たる
寺あり其寺を少もあがめ興隆(こうりう)すれば魔(ま)妨(さまたけ)をなし
て住僧も怖畏(ふい)をなし田園(でんえん)をも損亡(そんもう)せしむる事
年おゝつてはなはだしき也此事をまのあたりみ
ればそのおそれ侍れ共たちまちに荒廃(くわうはひ)せん事
かなしく侍れば猶興隆の思ひあり額書て給へと申
侍りしかば則書てあたへ侍りき其後四御年を
へて件の僧又来て申侍しは此額を打てより魔(ま)
の妨(さまたけ)なし住僧も安/堵(ど)し寺領も豊饒(ふにやう)也喜悦の
【柱】古今巻七 〇七