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からず我又家まづしく財もたねば心のごとくに
やしなふに力たへず中にも魚なけれ物くはず此ごろ
天下の制によりて魚鳥のたぐひいよ〳〵得かたきに
よりて身力すでによはりたり是をたすけん為に
心のをき所なくて魚とる術(じゆつ)もしらざれ共思ひの
あまりに川のはたにのぞめり罪(つみ)におこなはれん事
案(あん)のうちに侍り但此/取(とる)処の魚今ははなつともいき
がたし身のいとまをゆりがたくはこの魚を母のもとへ
つかはして今一度あざやかなる味(あぢわひ)をすゝめて心やすく
うけ給ひをきていかにも罷ならんと申に是を聞
【柱】古今巻八 〇七