← 前のページ
ページ 577 / 1317
次のページ →
翻刻
といひたりけれは頼信(よりのぶ)朝臣/折(をり)ふし酒(さけ)のみてゐたり
ける時なりければ興(けう)に入て只今(たゝいま)見様(みんやう)に申給べし此/仰(おほせ)
ことによろこび思ひ給候御/渡(わたり)有べしといひけれは頼光(よりみつ)則(すなはち)
入にけり盃酌(はいしやく)之間/頼光(よりみつ)厩(むまや)の方を見やりたりければ
童(わらは)を一人いましめてをきたりけりあやしと見て頼信(よりのぶ)
にあれにいましめてをきたるものはたそと問(とひ)ければ鬼(き)
同丸(どうまる)なりとこたふ頼光(よりみつ)驚(おとろき)ていかに鬼同丸(きとうまる)などをあれ
ていにはいましめ置(おき)給たるぞをかしあるものならば
かくほどあだには有/間敷(ましき)物をといはれければ頼信(よりのぶ)
実(げに)さる事候とて郎等(らうどう)をよびて猶(なを)したゝかにいまし
【柱】古今巻九 〇二